1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第11回は、異色のボランチ出身得点王、ウェズレイを取り上げる。

2ndステージに覚醒

 迎えた03年、名古屋は1stステージで開幕から無敗を続けたものの、勝ち切れない試合が多かった。ウェズレイも13試合出場・5得点と調子が上がらず、チームは全15試合で5勝8分け2敗の7位。この結果を受けてステージ終了後、02年から指揮を執っていたベルデニック監督が解任された。
 
 ネルシーニョ監督が就任した2ndステージも名古屋は波に乗り切れなかったが、ウェズレイは徐々に調子を上げていった。1stステージ終盤に加入したFWマルケスとのブラジル人2トップが機能するようになると、第6節からは4試合連続の計6得点を決めた。さらに第12節、第14節ではハットトリックを達成。名古屋は2ndステージ8位、年間総合7位に終わったが、ウェズレイは2ndステージに14試合出場・17得点と覚醒し、通算27試合出場・22得点で初の得点王に輝いた。
 
 05年の開幕直後に名古屋を退団してブラジルに戻ったが、06年にサンフレッチェ広島に加入。2年間で56試合に出場し、33得点を挙げて健在ぶりを示した。さらに08年は大分トリニータに移り、J1リーグで7得点を挙げたほか、同年のナビスコカップでは決勝で1得点を挙げるなど、クラブ初タイトルとなる優勝に貢献している。
 
 J1リーグ通算124得点は歴代8位。出場は217試合、1試合平均0.571得点は、100得点以上を挙げている計14人では最も良い数字で、計10年間の日本でのプレーで驚異的な得点率を記録した。

●2003年の得点ランキング(全30試合)
1位 ウェズレイ(名古屋グランパスエイト) 22得点
2位 グラウ(ジュビロ磐田) 21得点
3位 エメルソン(浦和レッズ) 18得点
4位 崔龍洙〈チェ・ヨンス〉(ジェフ市原) 17得点
5位 久保竜彦(横浜F・マリノス) 16得点
大久保嘉人(セレッソ大阪) 16得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

パワフルな突破でゴールに迫る姿は迫力満点だった(写真◎J.LEAGUE)

マークは年々厳しくなったが、それでも結果を残したところはさすが(写真◎J.LEAGUE)

シーズン途中に加入したマルケス(手前)とのコンビネーションも武器となった(写真◎J.LEAGUE)

元鹿島アントラーズのレオナルド氏がプレゼンテーターを務めた(写真◎J.LEAGUE)