1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第7回は、韓国人選手として歴代唯一の得点王、黄善洪を取り上げる。

2ndステージだけで17得点

 2ndステージに入ると、黄善洪の調子はさらに上向いた。第3節から5試合連続の計8得点。第9節でハットトリックを達成すると、そこから4試合連続の計7得点と、すさまじい爆発力を見せた。結局、2ndステージだけで14試合出場・17得点のハイアベレージを残し、年間通算25試合出場・24得点で得点王に輝いた。

 チームは2ndステージも5位、年間総合では6位だったが、総得点64はリーグ最多。1stステージ優勝のジュビロ磐田、2ndステージ優勝の清水エスパルス、この年にチャンピオンシップで年間優勝を争った2チームとの計4回の対戦は4戦全勝だった。勝負どころで勝ち点を落とし、タイトル獲得こそならなかったものの、攻撃力が看板のチームで黄善洪がフィニッシャーとして機能したことが、飛躍につながった。

 黄善洪は翌2000年に水原三星(韓国)に移籍した後、同年途中に柏レイソルに加入し、02年までプレー。柏での最終年には日韓ワールドカップに出場して4大会連続出場を果たし、ポーランドとのグループステージ初戦で韓国代表の大会初ゴールを決めるなど、ベスト4進出に貢献している。

●1999年の得点ランキング(全30試合)
1位 黄善洪(セレッソ大阪) 24得点
2位 城彰二(横浜マリノス) 18得点
3位 バロン(ジェフ市原) 17得点
4位 福田正博(浦和レッズ) 13得点
呂比須ワグナー(名古屋グランパスエイト) 13得点
久保竜彦(サンフレッチェ広島) 13得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

前年途中の加入でJリーグに慣れ、来日2年目に力を発揮した(写真◎J.LEAGUE)

ベルギー国籍のレネ監督の信頼を受け、持ち前の得点力を発揮(写真◎J.LEAGUE)

幅広く動いてボールに絡み、攻撃の基準点となる働きも(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグアウォーズではプロレスラーの蝶野正洋からトロフィーを受け取った(写真◎J.LEAGUE)