1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第6回は、驚異的なペースで得点を重ねた中山雅史を取り上げる。

「得点王の中山です!」

 この年は6月のフランス・ワールドカップを控え、日本代表のメンバー入りを目指す選手のプレーぶりも注目を集めていた。中山はワールドカップによる中断前の第12節までに早くも19得点を挙げ、自らの実力を証明してメンバー入り。本番でもジャマイカとのグループステージ第3戦で、日本のワールドカップ史上初得点を決めて歴史に名を残している。

 そのジャマイカ戦で負傷したため、再開後しばらくは欠場したものの、8月末の2ndステージ開幕戦から復帰。ここでも第3節から3試合連続の計5得点、第9節からは6試合連続の計9得点を決めるなど、ひとたび勢いに乗れば誰にも止められなかった。結局リーグ戦は7試合欠場したものの、27試合出場・36得点で得点王に。シーズン36得点は現在もJリーグ史上最多記録だ。

 磐田はシーズン34試合で107得点(1試合平均3・18得点)とチーム全体の得点力も驚異的で、両ステージ合計で最多勝ち点を奪ったものの、鹿島アントラーズとのチャンピオンシップで敗れ、リーグ連覇はならなかった。それでも中山はJリーグアウォーズでMVPを受賞し、史上初となる得点王とのダブル受賞。得点王のスピーチでは「炎のゴールハンター、得点王の中山です!」と叫び、喝采を浴びた。

●1998年の得点ランキング(全34試合)
1位 中山雅史(ジュビロ磐田) 36得点
2位 城彰二(横浜マリノス) 25得点
3位 柳沢敦(鹿島アントラーズ) 22得点
4位 バルデス(コンサドーレ札幌) 21得点
   オリバ(清水エスパルス) 21得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

キャプテンマークを巻き、圧巻の得点力でチームを引っ張った(写真◎J.LEAGUE)

日本が初出場したワールドカップのシーズン。負傷離脱がありながらも得点王に(写真◎J.LEAGUE)

ホームでのヴィッセル神戸戦、力強いPKでゴールを決める(写真◎J.LEAGUE)

4試合連続ハットトリックが始まったセレッソ大阪戦。試合後にファン・サポーターの『中山隊長、ゴンゴール!』の歌に乗ってダンス(写真◎サッカーマガジン)

Jリーグアウォーズでトロフィーを誇らしげに掲げた(写真◎J.LEAGUE)