あの頃があるから今があるーー。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。J戦士は大学時代にどんな選手だったのか。第1回は、明治大からプロ入りしたFC東京のMF三田啓貴だ。

上写真=明治大学時代には10番を背負ってプレーした三田啓貴(写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

文◎杉園昌之 写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子、J.LEAGUE

味スタでプレーすることが夢

 昨季途中、3年半ぶりにFC東京に復帰したとき、あふれる思いを口にしていた。

「僕の心の中には、ずっと青赤の血が流れていた」

 帰るべき場所だったのだろう。三田啓貴の東京愛は、今も昔も変わらない。明治大の八幡山グラウンドで必死にボールを追いかけていた学生時代から熱い思いを持っていた。

「小学校5年生からスクールに通って、U-15、U-18と育ってきて、味スタ(味の素スタジアム)でプレーすることにずっと憧れていました。FC東京でプレーするのは夢なんです」

 幼い頃はケリーのプレーに夢中になり、ユース時代には同じ左利きの先輩、大竹洋平の背中を追いかけた。しかし、トップ昇格を見送られて、悔しさを胸に明治大に入学。そこでプロになるために自らを追い込んだ。

 そして、大学3年生からは名門の10番を背負い、関東大学リーグでは際立つ存在となった。中盤で巧みにゲームをコントロールし、得意の左足で再三チャンスを演出。ボランチの位置からドリブルで攻め上がり、要所ではゴールも陥れた。