現在、Jリーグは開幕戦を終えて中断中だが、この連載では再開後のリーグ戦で、さらなる活躍が期待される各クラブの注目選手を紹介していく。連載第16回は、北海道コンサドーレ札幌のDF進藤亮佑について綴る。

個性派集団の中で異彩を放つ

J1開幕戦で、そのジャンプ力を生かし、空中戦に臨む進藤(写真◎J.LEAGUE)

 結局、昨季に続いて開幕戦を落としたものの、ただでは転ばぬあたりが札幌らしい。0-4から2点差まで追い上げ、受けに回った柏を最後まで苦しめた。何点取ろうが、負けは負け――という考え方もあるが、ミシャことペトロヴィッチ監督はそうしたドライな思想と無縁の人だ。

 だから札幌はどんな試合でも見ている人たちをわくわくさせてくれる。たとえ何点取られても、最後に追いつくんじゃないか、最後の最後にひっくり返すんじゃないかと。PK戦の末に初優勝こそ逃したが、J1王者の川崎フロンターレを相手に大会史上屈指の名勝負を演じた昨季のルヴァンカップ決勝がその好例だろう。

 最後にPKを外した進藤はしかし、この決勝でも、今季の開幕戦でも、リスクを冒して点を取りに行く札幌の象徴だったと思う。速攻の場面で、一番後ろから誰よりも早く走り出し、1トップまで追い越してゴールを奪いに行くバックスなど、おいそれと拝めるものではない。

 それも個々に秀でた一芸を殺さず、漏らさず、上手につなぎ合わせるミシャの手腕があるからだろう。この人が率いるようになってからの札幌はピッチ上で選手一人ひとりの「顔」がはっきりと見えるチームになった。それぞれが固有の武器を携えるJ1随一の個性派集団として。

 なかでも異彩を放つのが進藤じゃなかろうか。この人が上がれば上がるほど、札幌の好機も得点も勝ち点も順位もぐんぐん上がっていくはずだ。

 当人の狙いは2ケタのゴールか。殿(しんがり)に潜む希代の突撃隊長なら、それも十分に可能な話だろう。それに伴う自陣への「大返し」もまた見ものだ。また、足が攣るかも……。

Profile
しんどう・りょうすけ◎1996年6月7日生まれ、北海道札幌市出身。コンサドーレ札幌の下部組織で育ち、2015年にトップチームに入団。ミハイロ・ペトロヴィッチが監督に就任した2018年は3バックの一角を担ってリーグ戦全試合に出場。背番号を35から3に変えた昨季もレギュラーとしてプレーし、チームを支えた。DF。183cm、74kg