第100回を迎えた高校選手権の都道府県予選。10月21日に開幕する島根県予選に臨む松江南高の最終ラインを支えるのは、3人の3年生だ。受験勉強と両立しながら、衝撃の敗戦を喫したインターハイ予選の雪辱に燃えている。

上写真=インターハイ予選後も部活動を続け、選手権予選に臨む松江南高の3年生。左から組嶽、山木、石本(写真◎石倉利英)

失点直後に試合終了のホイッスル

 横浜マリノス(F・マリノス)などで活躍した元日本代表DF小村徳男を輩出した松江南高は、多くの生徒が卒業後に大学へ進学する県立の進学校。サッカー部も例年、インターハイ(全国高校総体)が終わると3年生の多くは部活動をやめ、受験に備えるが、今年度は20人中3人が残り、選手権出場を目指して部活動を続けている。

 3人ともDFで、4バックの最終ラインを支える存在だ。右SBの山木伸一郎は「3年生になったときから、最後の選手権まで続けようと決めていた」というが、CBでコンビを組む組嶽見月と石本剛琉は「続けるかどうか迷っていたけど、インターハイ予選で悔しい負け方をしたので…」と思いを口にする。

 6月4日、インターハイ予選で準決勝まで勝ち上がった松江南は優勝候補の一角・大社高と決勝進出を懸けて戦った。後半に先制されたものの、ひるむことなく追い付くと、その後は延長でもスコアは動かず。勝負の行方はPK戦に委ねられるかと思われた。

 しかし延長後半アディショナルタイム、CKからヘッドで決められて失点。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、歓喜に沸く大社の選手たちの傍らで、松江南の選手たちは呆然と立ち尽くしていた。

インターハイ予選準決勝の大社戦、延長後半アディショナルタイムに失点。直後に試合終了のホイッスルが鳴った(写真◎石倉利英)

「衝撃的でした。PK戦になるな、と思っていて、気の緩みが出たことが敗戦につながったと思う。悔しかったです」と山木は唇をかむ。「もう一度、選手権予選で頑張ろうと思った」という組嶽も、「負け方が悔しかったし、小学1年生からやってきたサッカーを、最後までやり切りたかった」という石本も、選手権予選での雪辱を期して部活動を続けることを決めた。