コロナ禍にあってサッカー界でもおなじみになりつつあるリモート応援を、米子北高(鳥取)が導入。応援係のアイディアを基に、会場では禁止されている声援がスピーカー越しにピッチ上の選手たちに届けられた。

上写真=試合展開を見ながら機器を操作する北尾。タイミングを見ながら流す応援歌をセレクトした(写真◎石倉利英)

ヴィッセル神戸の応援を参考に

 9月19日、鳥取県米子市のどらドラパーク米子球技場で行なわれた、高円宮杯スーパープリンスリーグ中国の第3節。米子北高(鳥取)と玉野光南高(岡山)の試合が始まると、スタンドの一角から選手たちの声援や鳴り物の音が響き始めた。

 同大会は無観客開催で、対戦する両チームの選手がスタンドで観戦することは認められているが、声を出しての応援や鳴り物の使用は禁止されている。米子北のベンチ横から聞こえている声援は、スピーカーから流れていたものだった。

 会場に行けないファン・サポーターが、スマートフォンのサイトを通じて歓声や拍手を届けるJリーグの形とは異なる。だが、これまでのようにメガホンや鳴り物を使っての応援ができない現在、新様式に沿った形で考案された、高校年代ならではのリモート応援だった。

 このアイディアを思いついたのは米子北の3年生、北尾陸と古川和雄。2人は今年度、部の応援係に任命され、日々のレギュラー争いに臨む一方で、応援に回った際は部員をまとめる役割を任されている。

 だが今年度は、新型コロナウイルスの影響でインターハイや県予選などが中止となり、公式戦再開後も応援は禁止されている。そんなとき2人はDAZNのJリーグ中継で、ヴィッセル神戸がファン・サポーターの声援をスピーカーから流しているのを見て「これなら自分たちにもできるんじゃないか、と思った」という。

スタンドで試合を見つめる米子北の選手たち。声援を送ることは禁止されている(写真◎石倉利英)

 2人は、大宮アルディージャで運営や広報を担当した経験を持つ梶貴博コーチに相談。その少し前に梶コーチもファジアーノ岡山の試合を現地観戦した際、スピーカーから声援が流れるのを見ており、さっそくアイディアを具現化するための方法を考え始めた。