この連載では、全国高校サッカー選手権に出場し、その後Jリーガーとなった選手を当時のお宝写真とともに紹介していく。連載第7回は、第81回~83回大会編。平成の怪物が史上初の快挙を成し遂げ、伝説を作った。

上写真=左から長友佑都、平山相太、本田圭佑(写真◎サッカーマガジン)

通算17得点の大記録

 第81回大会(02年度)から、決勝が成人の日に実施されるようになり、10年ぶりに5万人を超す観客動員を記録。国見(長崎)と市立船橋(千葉)の強豪校同士の対戦は、スコアレスで進んだ後半に市立船橋の小川佳純がスーパーミドルを叩き込み、市立船橋が3年ぶり4回目の日本一に輝いた。

 戦後初の3連覇を逃した国見だったが、第82回大会(03年度)でリベンジを果たす。3年生となったエースの平山相太が9得点をマークし、史上初となる2年連続での得点王を獲得。通算得点も史上最多の17に伸ばした。平坦な道のりではなかったが、最後の決勝では筑陽学園(福岡)に6-0と大勝し、6回目の優勝を飾った。

 第83回大会(04年度)は13校が初出場というフレッシュな顔ぶれの躍進が目立つ一方、初戦に強豪校同士の激突も。岡崎慎司を擁する滝川二(兵庫)を、本田圭佑が率いる星稜(石川)が4-3で破った一戦や、市立船橋と東福岡(福岡)の名門対決など、決勝でもおかしくない好カードが初戦にあった。それでも結局は順当に常連校が勝ち進み、鹿児島実業(鹿児島)がPK戦の末に市立船橋を破って初の単独優勝を決めた。

◆小川佳純

小川佳純(市立船橋高校)

名古屋グランパス時代(2007-16)/写真◎J.LEAGUE

小川佳純(おがわ・よしずみ)1984年8月25日生まれ、市立船橋高校。第79、80、81回(00、01、02年度)選手権に出場。国見の3連覇を阻んだ右足ボレーでのスーパーミドルは、大会史に残るファインゴール。卒業後は明治大を経て名古屋グランパスに加入し、2008年にJリーグ新人王を受賞。2010年のリーグ優勝にも主力として貢献した。今季よりFCティアモ枚方の監督に就任

◆増嶋竜也

増嶋竜也(市立船橋高校)

ジェフユナイテッド市原・千葉時代(2018-)/写真◎J.LEAGUE

増嶋竜也(ますしま・たつや)1985年4月22日生まれ、市立船橋高校。第80、81、82回(01、02、03年度)選手権に出場。読みの鋭さを生かすカバーリング、1対1の対応など堅守イチフナの伝統を体現。高卒で加入したFC東京では出場機会に恵まれなかったが、2011年には柏レイソルでJ1優勝を経験。2018年より地元であるジェフユナイテッド市原・千葉でプレーする

◆平山相太

平山相太(国見高校)

FC東京時代(2006-16)/写真◎J.LEAGUE

平山相太(ひらやま・そうた)1985年6月6日生まれ、国見高校。第80、81、82回(01、02、03年度)選手権に出場。3年間で14試合に出場、史上最多の17得点を挙げた怪物ストライカー。柔らかいボールタッチ、空中戦の強さなど、すべてにおいて規格外のプレーを見せた。プロ入り後は度重なる負傷に苦しみ、2017年シーズン終了後、32歳で引退した

◆兵藤慎剛

兵藤慎剛(国見高校)

ベガルタ仙台時代(2019-)/写真◎J.LEAGUE

兵藤慎剛(ひょうどう・しんごう)1985年7月29日生まれ、国見高校。第80、81、82回(01、02、03年度)選手権に出場。3年連続で決勝に進んだ国見黄金期で重要な役割を担ったダイナモ。一瞬で加速するドリブルからのクロスで得点機を演出した。卒業後は早稲田大に進学し、2008年に横浜F・マリノスに加入。北海道コンサドーレ札幌を経て、昨季よりベガルタ仙台に在籍する

◆青山敏弘

青山敏弘(作陽高校)

サンフレッチェ広島時代(2004-)/写真◎J.LEAGUE

青山敏弘(あおやま・としひろ)1986年2月22日生まれ、作陽高校。第80、82回(01、03年度)選手権に出場。1年時は8強入りに貢献し、関係者の注目を集めた。2年時の県予選決勝では誤審に泣いたが、主将となった3年時に自身2度目の出場。プロ入り後はサンフレッチェ広島一筋でプレーし、2015年にリーグMVPを受賞した