歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第19回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成19年(2007年度)は浦和レッズがACLで優勝し、鹿島アントラーズが二冠を達成。日本代表は監督が交代した年だ。

上写真=07年、浦和はセパハンを下し、ACL優勝を成し遂げた(写真◎Getty Images)

第二次岡田ジャパン誕生

 11月、日本代表監督を務めていたイビチャ・オシムが脳梗塞に倒れた。アジアカップでは4位になり、3連覇を逃すも、代表チームの『日本化』をキーワードに強化を進め、『オシム・ジャパン』への注目度も高かっただけに、日本サッカー界に激震が走った。

 あとを継ぐ形で監督に就任したのは、1998年以来の再登板となる岡田武史氏だった。第二次岡田ジャパンが誕生し、日本は2010年南アフリカ・ワールドカップを目指すことになる。同時に女子代表は佐々木則夫監督が就任。この2人はのちに、大きな仕事を成し遂げることとなる。

 この年、クラブレベルでも国際舞台で日本サッカー史に刻まれる出来事が起こった。浦和レッズがJクラブとして初めてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝を果たしたのだ。決勝はイランのセパハンと戦い、アウェーの初戦を1-1で引き分け、ホームの第2戦は2-0で勝利。埼玉スタジアムの大観衆を歓喜に酔いしれた。

 アジアを制した浦和は日本で開催されたクラブワールドカップに出場。準々決勝で再びセパハンと対戦すると、3-1で勝利し、準決勝に進んだ。決勝進出をかけたミラン戦では0-1で敗れ、惜しくもファイナルには届かなかったが、エトワール・サヘル(チュニジア)との3位決定戦にPK戦の末に勝ち、世界3位の称号を手にした。

■平成19年度の主な出来事(2007年シーズン)

・2月24日 ゼロックス杯でG大阪が初優勝
・3月3日 Jリーグ開幕
・4月18日 U-22代表が五輪最終予選へ進出
・4月22日 中村俊輔所属のセルティック(スコットランド)がリーグ連覇。中村がリーグMVPに輝く
・7月11日 U-20W杯(カナダ大会)で日本はベスト16
・7月28日 アジアカップで日本は4位に終わる
・8月4日 なでしこジャパンが北京五輪出場権を獲得
・8月4日 オールスターが開催され、中山雅史が3度目のMVP
・8月5日 インターハイは市立船橋高が5度目の優勝
・8月25日 U-17W杯(韓国大会)で日本はグループステージ敗退
・9月17日 なでしこジャパン、女子W杯グループステージ敗退
・9月23日 日本初のプロフットサルリーグ「Fリーグ」開幕
・9月24日 なでしこリーグ杯が8年ぶりに開催され、ベレーザが優勝
・10月8日 高円宮杯(U-18)で流通経済大柏高が初優勝
・11月3日 ナビスコカップはG大阪が初優勝
・11月14日 浦和がACL初制覇
・11月16日 日本代表オシム監督が急性脳梗塞で倒れる
・11月21日 U-22代表が北京五輪出場権を獲得
・12月1日 Jリーグは鹿島が6年ぶり5度目の優勝
・12月7日 日本代表監督に岡田武史氏が就任。女子代表監督に佐々木則夫氏が就任
・12月8日 広島との入れ替え戦の末、京都がJ1に昇格
・12月9日 なでしこリーグ1部はベレーザが優勝
・12月16日 浦和がクラブW杯に出場し、準決勝でミラン(イタリア)と対戦し惜敗。エトワール・サヘルとの3位決定戦にPK戦で勝利し、3位となる
・08年1月1日 天皇杯は鹿島が広島を下して優勝(第87回・07年度)
・08年1月1日 全日本女子選手権はベレーザが8度目の優勝(第29回・07年度)
・08年1月13日 大学選手権は早稲田大が13年ぶり11回目の優勝(第56回・07年度)
・08年1月14日 高校選手権は流経大柏高が初優勝(第86回・07年度)

オシム監督の後任の日本代表監督は岡田武史氏が務めることになった(写真◎Getty Images)

素晴らしい奮起の中で行なわれたACL決勝第2戦。浦和はサポーターの声援に応え、アジア王者の称号をに手にした(写真◎Getty Images)

ACL決勝第2戦で先制点を挙げた浦和の永井雄一郎(写真◎Getty Images)

左から浦和の主将・鈴木啓太、守備の要・闘莉王、決勝第2戦で得点した阿部勇樹(写真◎Getty Images)

クラブW杯の準決勝でミランのピルロにタックルを仕掛ける浦和の阿部(写真◎Getty Images)

この年の浦和の得点源となったワシントン。クラブW杯でも存在感を示した(写真◎Getty Images)

浦和はクラブW杯で3位となった(写真◎Getty Images)