歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第14回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成14年(2002年度)は日韓ワールドカップ開催で国中が熱狂。大会後も熱は続き、J1では磐田が完全優勝を果たした。

上写真=W杯の初戦、ベルギー戦で2点目を挙げた稲本潤一(写真◎サッカーマガジン)

日本国中がサッカーに熱狂!

 日本国中が世界のサッカーに触れ、熱狂した。「イングランドの貴公子」デビッド・ベッカムやトルコのイルハン・マンスズが女性の間で人気になるなど、ファン層も拡大。そして大会前から国中に広がっていたワールドカップ熱が、日本代表の背中も押すことになった。

 初戦でベルギーに先行されるも鈴木隆行の得点で追いつき、稲本潤一のゴールで逆転。結局、追いつかれてしまったが、初戦で引き分けて2度目のW杯出場で初めての勝ち点を獲得した。続く第2戦ではロシア相手に記念すべき初勝利を挙げる。決勝点をマークしたのはまたも稲本。中田浩二、柳沢敦とつないだボールを豪快に叩き込んだ。

 3戦目のチュニジア戦は森島寛晃、中田英寿の得点で2-0と完勝。グループ首位で決勝トーナメント進出を果たす。東京や大阪の繁華街にも青いユニフォームがあふれるなど、勝ち進んでさらなる熱狂を生み出したが、日本の快進撃はベスト16でストップする。それまでのスタメンとがらりと変えて臨むというフィリップ・トルシエ監督の奇策とも言える作戦が奏功せず、攻めきれずにセットプレーから失点し、惜敗。悔しさも残った一方で、初めて決勝トーナメントに進出し、歴史に新たな1ページも刻んだ。

■平成14年度の主な出来事(2002年シーズン)

・2月3日 高原直泰がボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)から磐田に復帰
・2月23日 清水が鹿島を下し、ゼロックス杯制覇
・3月2日 Jリーグ開幕
・5月8日 小野伸二擁するフェイエノールト(オランダ)がUEFAカップ優勝
・5月17日 W杯本大会に臨む日本代表メンバー発表。中村俊輔が落選する
・5月30日 日韓ワールドカップ開幕。前回王者フランスが開幕戦で敗れる
・6月9日 ロシアを下し、日本がW杯初勝利。視聴率は、スポーツ中継では歴代2位の66.1%を記録
・6月18日 日本は決勝トーナメント1回戦でトルコに敗れ、ベスト16でW杯敗退
・6月30日 日韓W杯決勝でブラジルがドイツを下し、5度目のW杯優勝
・7月3日 中村俊輔がレッジーナ(イタリア)へ移籍
・7月7日 Lリーグ開幕
・7月15日 鈴木隆行がゲンク(ベルギー)へ期限付き移籍
・7月19日 稲本潤一がアーセナルからフルハム(イングランド)へ期限付き移籍
・7月20日 日本サッカー協会会長に川淵三郎氏が就任
・7月22日 ジーコ氏が日本代表監督に就任
・7月23日 鈴木昌氏がJリーグチェアマンに就任
・7月30日 山本昌邦氏がU-23代表監督に就任
・8月8日 帝京高がインターハイ優勝
・8月17日 磐田がJ1・1stステージ優勝
・8月24日 オールスター開催
・9月1日 高円宮杯(U-18)で国見高が2年連続優勝
・11月4日 鹿島がナビスコ杯で2年ぶり3度目優勝
・11月24日 筑波大が22年ぶりに大学選手権を制する
・11月30日 磐田がJ1・2ndステージも制し、両ステージ優勝で年間王者となる
・11月30日 Lリーグでベレーザが3連覇達成
・12月17日 W杯アジア出場枠が「4.5」に拡大
・12月22日 高原直泰のハンブルク(ドイツ)移籍が決定
・12月27日 井原正巳が現役引退
・03年1月1日 京都が天皇杯初優勝(第82回・02年度)
・03年1月13日 高校選手権は市立船橋高が3年ぶり4度目の優勝(第81回・02年度)
・03年1月16日 田崎が3年ぶりに全日本女子選手権制覇(第24回・02年度)

先行を許したベルギー戦で同点弾を挙げた鈴木隆行(写真◎Getty Images)

稲本の2試合連続ゴールでロシア戦に勝利。W杯初勝利を挙げた(写真◎Getty Images)

3戦目のチュニジア戦は森島(写真右)と中田英寿の得点で勝利を飾った(写真◎Getty Images)

トルシエ監督に率いられたチームは見事にグループステージを首位で突破した(写真◎Getty Images)

決勝トーナメント1回戦のトルコ戦は西澤明訓(写真)と三都主が2トップを組んだがゴールは遠かった(写真◎Getty Images)

戸田和幸は戦う姿勢をピッチで示したが、1点に泣き、日本は勝利をつかめなかった(写真◎Getty Images)