歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第13回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成13年(2001年度)は鹿島が連覇を達成、プレW杯では日本が開催国としての力を示した。

上写真=チャンピオンシップ第2戦、小笠原の直接FKがVゴールとなり、鹿島が磐田を破ってJ連覇を達成した(写真◎J.LEAGUE)

トルシエJがプレW杯で王者に肉薄

 翌年の日韓ワールドカップに向けて、気運の高まる1年になった。プレW杯として行なわれたコンフェデレーションズカップで、日本代表は0-0だったブラジル戦も含めて、グループステージを無失点のまま2勝1分けで首位通過。準決勝でもオーストラリアに中田英寿のゴールで競り勝ち、決勝は0-1で落としたが、世界王者フランスに肉薄した。

 また、準決勝は豪雨の中での試合となったが、水はけのよさを見せた横浜国際総合競技場のピッチは、W杯決勝会場として評価を高めることになった。

 決勝を前に中田は代表を離脱していたが、理由は所属するローマに戻るためだった。実際に、合流直後に中田はセリエA優勝を体験することとなる。また、小野伸二と稲本潤一はそれぞれフェイエノールト、アーセナルとヨーロッパの名門へ、高原直泰は南米の名門ボカ・ジュニアーズへと移籍。若きタレントがクラブレベルでも世界に羽ばたき始めていた。

■平成13年度の主な出来事(2001年シーズン)

・3月3日 ゼロックス杯で清水が鹿島を下し優勝
・3月3日 日本が敵地でフランスと対戦。0-5の大敗を喫す
・3月10日 Jリーグ開幕
・5月6日 アジアクラブ選手権で磐田が決勝で水原三星に敗れ、2年連続で準優勝に終わる
・6月10日 日本で開催されたコンフェデレーションズ杯で、日本は決勝でフランスに敗れたものの準優勝
・6月17日 ローマが18年ぶりにイタリア・セリエA優勝。中田英寿が日本人として初めてスクデットを獲得
・6月24日 日本が出場したアルゼンチンでのワールドユースでは1勝2敗でグループステージ敗退
・7月6日 中田英寿がローマからパルマ(イタリア)へ移籍。背番号10を背負う
・7月7日 磐田がJ1・1stステージ優勝
・7月9日 浦和・小野伸二のフェイエノールト(オランダ)への移籍が決定
・7月12日 G大阪・稲本潤一のアーセナル(イングランド)への移籍が決定
・7月14日 名古屋のストイコビッチが現役引退
・8月3日 磐田・高原直泰のボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)への移籍が決定
・8月4日 オールスター開催
・8月8日 インターハイは市立船橋高が3年ぶり4度目となる優勝
・9月2日 高円宮杯(U-18)は国見高が初優勝
・9月2日 JOMOカップ開催。エムボマがゲスト参加
・9月29日 横浜FM・川口能活のポーツマス(イングランド)への移籍が決定
・10月27日 ナビスコ杯は横浜FMが初優勝
・11月4日 Lリーグはベレーザが2年連続優勝
・11月12日 清水のアレックスが日本国籍取得。登録名は「三都主アレサンドロ」に
・11月17日 鹿島がJ1・2ndステージ優勝
・11月18日 大学選手権で駒澤大が優勝
・12月1日 日韓W杯の組分け決定。日本はベルギー、ロシア、チュニジアと同じH組に
・12月8日 チャンピオンシップは鹿島が2年連続4度目の優勝
・01年1月1日 清水がC大阪を下し、天皇杯初優勝(第81回・01年度)
・01年1月13日 高校選手権は国見が優勝(第80回・01年度)
・01年1月20日 全日本女子選手権は伊賀くノ一が初優勝(第23回・01年度)

コンフェデ杯でトルシエ監督の起用に応え、カメルーン戦で2得点を挙げた鈴木隆行(写真◎サッカーマガジン)

準決勝のオーストラリア戦は中田英寿の直接FKによる得点で勝利。決勝進出を果たした(写真◎サッカーマガジン)

コンフェデ杯決勝ではフランスの攻撃陣を1失点に抑えた。中田浩二(左)がアネルカに食らいつく。自国開催のW杯を翌年に控え、大きな手応えを得た(写真◎Getty Images)

コンフェデ杯から戻った中田はローマでセリエA優勝を経験した(写真◎Getty Images)

小野伸二がオランダのフェイエノールトに移籍(写真◎サッカーマガジン)

稲本潤一は元名古屋監督のベンゲル率いるアーセナルに移籍した(写真◎Getty Images)

惜しまれつつ名古屋のストイコビッチが現役を引退(写真◎J.LEAGUE)