歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第12回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成12年(2000年度)はアジアで日本が存在感を示し、国内では鹿島が偉業を達成した。

上写真=天皇杯優勝で鹿島が三冠を達成。J誕生以来初となる偉業を達成した(写真◎サッカーマガジン)

五輪は8強、A代表は圧巻のアジア制覇

 前回のアトランタ大会以上に、開幕前からシドニーオリンピックへの期待は高かった。前年の世界大会準優勝の「黄金世代」が数多く選ばれ、OA枠もフル活用(楢崎正剛、森岡隆三、三浦淳宏)。すでにイタリアの名門ASローマの一員となっていた中田英寿もチームの中心として奮闘したが、最後はその大黒柱がPK戦でキックを外し、アメリカに競り負けて8強に終わった。

 しかし、日本代表の歩みは止まらなかった。オリンピック敗退の3週間後、五輪に出場した柳沢敦、稲本潤一、高原直泰らを加えてアジアカップがレバノンで開幕。中堅と若手が融合されたA代表は、地力の高さを示す。サウジアラビア、ウズベキスタンに快勝し、カタールと引き分けたものの、グループステージを首位で突破。準々決勝でイラク、準決勝で中国、そして決勝で再びサウジアラビアを下して、2大会ぶり2度目の優勝を飾った。

 大会MVPは日本の優勝に貢献した名波浩。守備の中心として堅守を築いた森岡隆三が最優秀DFに選ばれた。

■平成12年度の主な出来事(2000年シーズン)

・1月6日 城彰二がバリャドリード(スペイン)へ移籍
・1月12日 中田英寿のローマ(イタリア)移籍が決定
・2月20日 日本がアジアカップ予選を難なく突破
・3月4日 ゼロックス杯で磐田が名古屋を破って優勝
・4月15日 アジアカップウィナーズ選手権で清水が優勝
・4月22日 アジアクラブ選手権で磐田が決勝でアルヒラル(サウジアラビア)に敗れ準優勝
・4月24日 スポーツ振興くじ「toto」の導入が決定
・5月27日 横浜FMがJ1・1stステージ優勝
・6月4日 ハッサン2世国王杯に日本が出場。強豪フランスに2-2の好ゲームを演じる
・8月8日 インターハイは国見高が7年ぶり3度目の優勝
・8月26日 オールスターはJ-WESTが勝利。西澤明訓がハットトリックを達成
・8月28日 シドニー五輪代表メンバーを発表
・9月3日 高円宮杯(U-18)は清水商高が優勝
・9月23日 シドニー五輪で日本はベスト8敗退。PK戦の末にアメリカに敗れる
・10月4日 JOMOカップ開催。前年に続きロベルト・バッジオがゲスト参加
・10月29日 レバノンで行なわれたアジアカップで日本が優勝
・11月4日 ナビスコ杯は鹿島が川崎Fを破り、4年ぶり2度目の優勝
・11月19日 中京大が大学選手権で初優勝
・11月26日 アジアユース選手権(イラン大会)で日本が準優勝。ワールドユースへの出場権を獲得する
・11月26日 鹿島がJ1・2ndステージ優勝
・11月27日 西澤明訓のエスパニョール(スペイン)移籍が決定
・12月3日 東西に分かれて実施したLリーグが閉幕。ベレーザが優勝を飾る
・12月9日 チャンピオンシップは鹿島が2年ぶり3度目の優勝
・12月11日 アジアスーパー杯で清水がアルヒラル(サウジアラビア)に敗れる
・01年1月1日 天皇杯は鹿島が清水を下して3年ぶり2度目の優勝(第80回・00年度)
・01年1月8日 高校選手権は国見(長崎)が優勝(第79回・00年度)
・01年1月21日 全日本女子選手権はベレーザが3年ぶりに優勝(第22回・00年度)

日本がハッサン二世国王杯で強豪フランス相手に善戦し(2-2/2PK4)、自信を深めた

シドニーオリンピックのGS3戦目のブラジル戦の先発メンバー(写真◎サッカーマガジン)

シドニーオリンピックで日本は2勝1敗でグループステージを突破し、準々決勝に進出した(写真◎サッカーマガジン)

準々決勝はPK戦までもつれ込み、5人が決めたアメリカに対し、日本は4人目のキッカー、中田英寿がミスし、4-5で競り負けた(写真◎サッカーマガジン)

レバノンで開催されたアジアカップで日本代表は攻守にかみ合った戦いぶりを披露(写真◎サッカーマガジン)

アジアカップ2000のMVPに輝いた名波浩(写真◎サッカーマガジン)

日本は平成4年(92年)大会以来2度目のアジア制覇を成し遂げた(写真◎サッカーマガジン)