あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第4回は、明治大2年時の意識改革が実って得点王に輝き、プロ入りを果たしたFW阪野豊史だ。

プロ7年目のJ1初ゴール

 そして、目標にしていた浦和の内定まで勝ち取り、期待に胸を膨らませてプロ入りを果たす。しかし、現実は厳しかった。思い入れのあるクラブでは分厚い選手層に阻まれ、3年目から期限付き移籍でJ2の栃木SC、愛媛FCを渡り歩き、17年にはJ2のモンテディオ山形に完全移籍する。

プロ1年目の2013年、サンフレッチェ広島とのJ1開幕戦でデビュー。浦和では2年間でJ1リーグ9試合の出場だった(写真◎J.LEAGUE)

 それでも、腐っていたわけではない。むしろ地道に努力を重ね、実績を積み上げてきた。栃木、愛媛、山形の3クラブでJ2通算185試合に出場し、47得点を記録している。

「J2で点を取ってきたことは自信になっています」

 昨シーズン途中、当時J1の松本に完全移籍して活躍の場を移し、プロ7年目にしてJ1初ゴールを決めた。しかも相手は浦和、会場は埼玉スタジアム。古巣の本拠地で挙げた1点には、思いがたっぷり詰まっていた。

「点を決めたときは、いろいろな感情があふれてきました。本当にうれしかったんです。浦和戦に懸ける思いは特別でしたから」

 苦労してたどり着いたJ1のステージだが、5カ月足らずで松本が降格となり、今シーズンは再びJ2で戦っている。背番号は50番から11番に変更。大きく飛躍した山形、明治大時代につけた縁起のいいナンバーで出直しを誓っている。開幕戦ではさっそく決勝ゴールをマークし、勝利に大きく貢献した。松本の新エースとなり、再びJ1を目指す。

2015年は栃木に期限付き移籍。J2 リーグ41試合に出場、6得点を挙げた(写真◎J.LEAGUE)

2016年も期限付き移籍で愛媛へ。J2リーグ42試合に出場して12得点(写真◎J.LEAGUE)

2017年に山形へ完全移籍。2年半のプレーでJ2リーグ102試合に出場、29得点を挙げた(写真◎J.LEAGUE)

昨季途中に松本に完全移籍。第24節の浦和戦でJ1初得点となる同点ゴールを決め、埼玉スタジアムでの逆転勝利に貢献した(写真◎J.LEAGUE)

さかの・とよふみ◎1990年6月4日生まれ、埼玉県出身。浦和レッズユースから明治大へ。大学卒業後、2013年に浦和に加入し、期限付き移籍で栃木SC、愛媛FCでもプレーした。17年にモンテディオ山形に完全移籍し、19年途中まで在籍。19年7月に松本山雅へ完全移籍し、今季で2年目を迎える。181cm、81kg

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