今夏の日本クラブユース選手権以来となった東西プレミアリーグ勢対決。先制したのは福岡U-18だった。16分、DF田村奎人のCKから、最後はMF軸丸大翔が右足でゴールネットを揺らす。後半、鹿島ユースのMF柳町魁耀にミドルシュートを決められて同点とされるも、84分にMF田代紘希のシュートのこぼれ球をFW石井稜真が押し込んで決勝点。福岡U-18が鹿島ユースに競り勝ち、レベスタで行なわれる準決勝へと駒を進めた。

上写真=福岡U-18の先制ゴールを奪った軸丸(写真◎サッカーマガジン)

■2019年11月3日 2019Jユースカップ準々決勝(Jヴィレッジスタジアム)
福岡U-18 2-1 鹿島ユース
得点者:(福)軸丸大翔、石井稜真 (鹿)柳町魁耀

大分出身のアタッカー。「アビスパに来てよかった」

 福岡U-18の選手たちが、チームの歴史を塗り替えた。「これまでにもJユースカップではベスト8が2回」と井上孝浩監督が話すように、過去最高成績を更新してベスト4入り。「今回は3度目(の準々決勝)だったので、『もう一つ上へ』ということを話していました。(準決勝は)せっかくレベスタでやるので、ひとまず進めてよかったです」(井上監督)。これまでに2度阻まれてきたベスト8の壁を破り、指揮官は“本拠地開催”となる準決勝進出を喜んだ。

 井上監督のみならず、選手たちも試合終了の笛が吹かれると歓喜に沸いた。MF軸丸大翔もその一人だ。「(準決勝を)地元でやれるのはうれしい」と笑顔を見せる。「ベスト4を目標にはしていたけれど、本当に行けるとは思っていなかった」と本音を明かすも、1週間後のレベスタの風景を想像し、「たくさんの人に見てもらえると思うので、アビスパの戦いを広められれば」と意気込む。

 2回戦で水戸ユース(2-1)、3回戦で徳島ユース(3-1)を破って準々決勝に勝ち上がり、Jヴィレッジスタジアムで東の強豪・鹿島ユースと顔を合わせた。「先制点を取られれば厳しい試合になると予想していたので、(先制点は)チームにとってもだいぶ楽になったと思います」。自らの先制ゴールでチームを勢いづかせ、準決勝への切符を手繰り寄せた。

「練習から、コーナーキックでは(味方の)折り返しとかを一番意識しています。(CKのボールを)直希(DF鷹巣)が競ってくれて、こぼれ球をしっかり意識し、良い位置にいられたのは練習の成果だと思う。当たりそこないだったけれどコースが良くて、入ってよかったです」と、セットプレーからのゴールシーンを振り返る。

 軸丸は同点に追い付かれた後の81分にピッチを退いたものの、チームの勝利を信じて疑わなかった。「アビスパの選手はみんな気持ちが強い。前回のヴォルティス戦でも途中交代の選手が活躍してくれたので、もう1度やってくれると信じて、ベンチで安心して(試合を)見ていられました」。決勝点につながるシュートを放ったのは、軸丸の思いを継いで交代出場したMF田代紘希だった。

 Jユースカップの頂点まで、あと2勝。高校入学時に大分から福岡へとやってきた軸丸の次なる目標は「優勝」の二文字だ。

「(福岡U-18で)レベルが高い中で(サッカーを)できて、自分の技術(レベル)は上がったと思います。アビスパに来てよかった。まだプレミアリーグWESTが残っているので、プレミア残留が一番の目標ですけれど、Jユースカップでは優勝を狙っていきたいです」

 仲間への信頼とクラブへの感謝を胸に、王座へと突き進む。

取材◎小林康幸

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