高円宮杯プレミアリーグEAST第17節で、千葉県の強豪校が激突した。流通経済大柏と市立船橋の一戦は、14分に相手のハンドで得たPKをMF鈴木唯人が決め、アウェーの市立船橋が先制する。さらに5分後にも再びPKを鈴木が沈め、2点目を奪取。前半終了間際には流通経済大柏のFW森山一斗に1点を返されるも、後半はリードを守り切り、勝ち点3を獲得した。プレミアリーグEAST同節の他4試合は12月1日に開催される。

上写真=2ゴールの活躍を見せた市立船橋の鈴木唯人(写真◎サッカーマガジン)

■2019年10月5日 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節
流通経済大柏 1-2 市立船橋
得点者:(流)森山一斗 (市)鈴木唯人2

エースの決意。「星を増やせるように」

 市立船橋のMF鈴木唯人が、同じ千葉県のライバル校を相手に存在感を放った。14分、FW松谷昂輝のクロスから放ったヘディングシュートが相手DFの手に当たりPKを獲得。背番号10はペナルティースポットにボールをセットすると、右足で冷静にゴールへ沈め、先制点をもたらした。さらに、5分後にも味方選手が倒されて得たPKで2点目を奪い、流通経済大柏撃破の立役者となった。

「個人的にはずっと得点を取れていなくて、チームに迷惑をかけていた。PKという形ですけれど、結果的に2点決めて、勝利につなげられてうれしいです」

 エースの2ゴールにより、9月22日の第14節尚志戦(○3-0)に続いて2連勝を飾り、勝ち点を「18」に伸ばした。順位も6位に浮上し、勝ち点「20」の5位流通経済大柏に迫った。

 高円宮杯プレミアリーグEASTで勝ち点3を積み上げたことに加え、約1カ月半後に控える“冬の風物詩”全国高校選手権の千葉県予選を前に、全国への切符を争うライバルを破った意味は大きい。

「3年間、自分が(市立船橋で)やってきた中で流経大柏には勝てていなかった。ここでも負けていたら、自分たちはずっと負け続けているイメージもあるし、相手は選手権予選でも『余裕だろう』と思うかもしれない。だから、選手権前のこの試合を絶対に落とせないことはチーム全員で分かっていたので、本当に良かった」と、鈴木はこの勝利の価値を強調する。

 今予選で準決勝(11月27日)から登場する市立船橋は、勝ち上がれば11月30日の決勝で流通経済大柏と全国への切符を争う可能性もある。言わば、この試合は選手権県予選の“前哨戦”ともなり得る一戦だった。

 鈴木が市立船橋に入学してからの過去2年は県予選決勝で流通経済大柏に敗れて涙をのんだだけに、“高校最後の冬”でのリベンジに燃える。

「(市立船橋の)このメンバーはみんな、選手権に出たい思いを持ってここに来た。もちろん、自分もそうです。選手権に出られないまま(高校生活が)終わることは絶対に嫌だ。それはみんなも同じ気持ちなので、ここからの期間がより大事になってくる」

 千葉県は流通経済大柏の他にも、インターハイ出場の日体大柏や、6月の関東大会を戦った中央学院、専大松戸、さらには八千代などの強豪校がひしめく。そんな全国屈指の激戦区を勝ち抜き、“三度目の正直”で自身初の選手権出場へ。そして、その先にある全国の頂点を見据え、伝統のユニフォームの胸部に視線を移す。

「これ(タイトル獲得を表す星の刺繍)をもう一つ増やせるように、しっかり地に足を付けて、選手権へ良い準備をしていきたい」