いま、川崎フロンターレU-18に大きな注目が集まっている。アカデミーから現在の日本代表選手を輩出し、3人がトップチーム昇格、今年のU-18が快進撃を続けているからだ。長橋康弘U-18監督と中村憲剛FROが語り合う、アカデミーのいまとこれから。

上写真=長橋康弘監督(左)と中村憲剛FROがアカデミーのいまと未来を語り合った(写真◎サッカーマガジン)

トップとの距離が縮まっている

 板倉滉、三笘薫、田中碧、久保建英と、川崎フロンターレのアカデミー出身選手が、日本代表で目覚ましい活躍を見せている。U-18のDF高井幸大がトップチームと2月にプロ契約したのに続いて、DF松長根悠仁、MF大関友翔の来季からのトップ加入内定が6月に発表された。7月3日時点で公式戦無敗、初昇格の『高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022』のEASTで首位と、今年のU-18チームが快進撃を続けている。アカデミーに注目が集まるのも当然のことだ。

 そのアカデミーはかつての選手たちが中心になって作り上げていて、その歴史をきちんと次代に伝えている。一昨年に現役を引退した中村憲剛FROも関わるようになってさらに充実したアカデミーがどんな未来を描いているのか、長橋康弘U-18監督と中村FROに聞いた。

――川崎フロンターレは今年が記念の「26(フロ)周年」ですが、「次の26年」へ向かうために、アカデミーのいまとこれからを知りたいと思います。まずは「いま」ですが、公式戦無敗と快進撃を続けるU-18チームについて、長橋監督はどのようにとらえていますか。

長橋康弘監督 一番大きいのが、トップとトレーニングマッチを組んでもらったり、憲剛さんに練習を見ていただいたりと、トップとの距離が縮まっていることです。その影響で選手たちが積極的にトレーニングに取り組んでいて、結果にも出ていると考えています。

中村憲剛FRO 僕はたまにしか来ることができていないんですが、スタッフの皆さんが温かく迎えてくれて、しかも好きなことを言ってくれていい、と。本当に感謝しかありません。おととし引退して、まだトップの感覚に近い人間でもあります。僕自身、引退の4、5年前から、同じトップの若い選手にアドバイスする回数がどんどん増えていったんですけど、自分の培ってきたもの、考えていることはトップに来てからではなくて、育成年代の選手たちからアプローチできることなのではないかと思うようになりました。

長橋監督 昨年1月にトップとトレーニングマッチを組んでもらいましたが、引退したばかりの憲剛さんにこっちのベンチに座ってもらったんです。

中村FRO いま思い出してもありえないと思うのですが、座っていいって言うから(笑)。向こうのベンチは当然ですが、鬼木達監督ですよ!

長橋監督 トップもすごいメンバーで戦ってくれて、憲剛さんが関わってくれたこともあって、選手にとってもトップを具体的に意識した劇的なタイミングだったんです。その次の週から、選手の意識はかなり変わりました。

――鬼木監督は、トップの選手も鬼木監督自身も刺激になったと話していました。トップとアカデミーをつなぐブリッジのような象徴的存在が、中村さんというわけですね。

長橋監督 選手たちの目の輝きがまったく違うんです。なんでそんなに、というぐらい(笑)。目標にしていた選手が目の前にいるわけですから、プレーで認めてもらいたい、と意識していて、憲剛さんもきちんと言ってくれる。漠然と「トップのサッカーを」ではなく、トップではどういう選手がうまいと言われるのか、憲剛さんがやってくれて、言ってくれたので、その違いを認識できました。

――基準を示すことができたわけですね。中村さんはそこはやはり意識されたのではありませんか。

中村FRO はい、むしろ、そこは僕にしかできない仕事だと思っていましたから。ここからのフロンターレを考えたときに、U-18とトップをより太くつなぐことが必要だと考えていましたし、誰かがそれをやらなければいけないなと。トップはこうやるんだということをはっきり提示できる人がいないといけない。なので、引退する時に、「俺がそこをやりたいな」と思って(笑)。そうすればアカデミーの選手たちがトップを可視化できるし、より存在がリアルになりますから。

 それはトップの強化部に対してもそうで、アカデミーにどんな選手がいるのか、より関心をもってもらう、見てもらう環境を作っていきたくて。去年は長橋監督以下U-18のスタッフの皆さんと、トップの強化部の間をそれぞれの情報を持って行き来しました。それも自分のやれることだなと。

画像1: トップとの距離が縮まっている
画像2: トップとの距離が縮まっている

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