Uー20日本代表が現地27日、FIFA U-20ワールドカップのグループステージ第3戦、イスラエル戦に臨んだ。スタートからアグレッシブなプレーをみせた日本は前半は攻守両面で相手を圧倒。前半のアディショナルタイムで坂本一彩が決め、先制にも成功したが、後半相手に退場者が出ながらも逆転負け。グループ3位に転落し、決勝トーナメント進出の可能性は残ったが、極めて難しい状況になった。

上写真=前半は素晴らしい内容を見せた日本だが、まさかの逆転負けを喫した(写真◎Getty Images)

■2023年5月27日 U20W杯・GS第3戦(@メンドーサ)
 U20日本 1ー2 U20イスラエル
 得点:(日)坂本一彩
    (イ)ナビ、オメル シニア

画像: 日本対イスラエル出場メンバー/(日)冨樫 剛一、(イ)オフィル・ハイム

日本対イスラエル出場メンバー/(日)冨樫 剛一、(イ)オフィル・ハイム

マネジメントに悔いが残る(冨樫監督)

 序盤から日本の強い気持ちがピッチで表現された。ハイプレスと素早い切り替えでイスラエルを後手に回らせ、立て続けにチャンスを創出する。6分に右サイドで先発した松村が中央から左足で強烈なミドルシュート。相手GKにストップされるがその跳ね返りを自ら収めて今度は右足で狙う。この2度目のシュートもファインセーブで防がれたが、動きを止めずに前向きにプレーし、ゴールに対する強い意欲を感じさせた。

 直後の8分、左サイドで先発した安部もみせる。中央に入ってきた松村とのパス交換でボックス内まで入り込み、右足を一閃。またもGKに止められたが、流れるようなパスワークからシュートにつなげた。

 10分にも、松村のお膳立てからシュートチャンスが生まれる。後方からボールを引き取った松村がドリブルで運び、フォローにきた松木にヒールパス。間髪入れずにキャプテンが左足を振ると、シュートはわずかにゴールに右に逸れた。

 立ち上がりの15分間が重要だとチームで確認してイスラエル戦に臨んでいたが、日本は望み通りの形で試合に入り、優位にゲームを進めた。攻撃では右サイドから内側に入ってプレーする松村の動きが効果的で、何度もフリーになってチャンスを創出した。守備でも鋭い出足とボール回収で相手に時間とスペースを与えず、完全に日本ペースで試合を進めた。

 それでも得点できなかった日本だったが、前半のアディショナルタイムについにネットを揺らす。敵陣、やや右寄りの位置でえたFKの場面で高橋が左足で入れたボールはイズラロフにクリアされるが、ボックス内で高々と上がったボールに松木がいち早く反応。頭で後方に落とすと、密集の中で誰よりも早く反応し、落下地点に走り込んだ坂本が頭でプッシュ。試合開始から主導権を握り続けた日本がついに先制点をスコアした。

 1点リードで迎えた後半、相手の圧力に対抗するために50分すぎにはボランチの佐野が右アウトサイドに入り、5−4−1のブロックを築いて守る形にシフトしたが、ボールを前進させられない時間が続くと、再び4バックを組んで4−4−2にセットして守る形に戻した。少しばたついたが、その後は前がかりの相手を裏返して攻めに出る機会を作り出していった。

 日本ペースの展開の中、イスラエルのラフプレーが増えていき、68分には途中出場のピニャミンが2枚目のイエローカードで退場。日本は数的優位を得て残り20分あまりを戦うことになった。しかし、日本は優位を生かして試合を進められず、攻め込まれる時間が増えていく。受けに回ることが多く、相手を押し返すことができなくなった。

 結果、次の1点を手にしたのはイスラエルの方だった。

 76分、ボックスのすぐ外でFKを与えると、テルグマンのシュートは壁に当たったものの、跳ね返りをダイレクトでシブリに狙われ、ボックス右で待っていたナビにヘディングシュートを決められた。決して狙ったプレーではなかったはずだが、隙をつかれた形になった。

 その後も1点を返して勢いを増したイスラエルの攻撃を受ける時間が続き、日本もフレッシュな選手を投入して流れを引き戻しにかかった。だが1人少ない中で追いついたイスラエルの勢いを止めることはできなかった。

 後半のアディショナルタイム、ゴール前でレムキン、テルグマンとパスをつながれると、最後はオメル・シニアにシュートを許し、失点。後半途中までゲームを支配し、1人多い状況になりながら、2試合続けて逆転負けを喫することになった。

「試合の運び方も含め、自分のマネジメントに悔いが残ります。何度、海外遠征を繰り返してもW杯の本番の強度や雰囲気、コンディションも含めて(この場所に)立った人間しかわからないことがある。それを選手たちがどう消化し、成長していってくれるのか。日本代表としていろんなものを背負って戦ってきたので、そこは感謝の気持ちですが、ここから先、彼らが進む道で、もっともっとやらなければいけないと痛感したと思います。みんなで強豪国になるべく進んでいければと思います」

 冨樫剛一監督はここまでの試合をこう振り返った。他会場で行われていたコロンビア対セネガルが後半アディショナルタイムの90+5分にコロンビアが追いつき、1−1のドローに終わったため、日本は辛うじて3位でグループステージを終えた。明日のグループE、Fの第3戦の結果次第で日本にはまだ決勝トーナメント進出の可能性が残る。ただし、6グループの3位の中でラウンド16に進めるのは上位4チーム。勝ち点3、得失点差「−1」の日本には、極めて厳しい状況になった。


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