東京五輪の登録メンバー、18人に残るためには一瞬たりとも気が抜けない。12月28日のジャマイカ戦に先発し、中山雄太とボランチコンビを組んだ松本泰志は目に見える結果を欲していた一人かもしれない。

上写真=ボランチで先発し、81分間プレーした松本泰志

■12月28日 キリンチャレンジカップ2019
Uー22日本代表 9-0 U-22ジャマイカ代表
得点:(日)中山雄太、旗手怜央2、前田大然、安部裕葵、東俊希、一美和成、三苫薫、岩崎悠人

2019年の最後に手にした結果

 チームの立ち上げから2018年まで、松本は東京五輪世代チームの常連だった。しかし2019年に入ると、3月にタイで開催されたAFC U-23選手権予選と9月のメキシコ・アメリカ遠征にしか参加していない。11月に地元広島で行われた同世代初の国内マッチ、U-22コロンビア代表との試合にも招集されなかった。

 チーム内で絶対的な存在でないことは本人も理解している。だからこそ、ジャマイカ戦では、チームの勝利に貢献した上で、目に見える形で結果も残したかった。

 結果、9-0の大勝劇に貢献し、チームの2点目となる旗手怜央のゴールを演出。アシストという形で目に見える結果も出した。安部のスローインに反応してドリブルで左サイド深くまで侵入し、旗手の位置を確認してクロスを供給。見事なお膳立てだったが、「アシストという形で数字を出せたのは良かったですけど、まだまだ自分に足りないものが多いと思うし、課題が出たので、そこをやっていければなと思います」と本人の評価は辛い。喜びよりもあるのは危機感だ。

 それもそのはず、この日コンビを組んだ中山雄太の他、田中碧、田中駿汰、齊藤未月、渡辺皓太などなど、ボランチにはライバルが多い。松本のようなプレーメーカータイプは同世代に多くないかもしれないが、オーバーエイジは本大会でメンバー入りする可能性もある。例えば、柴崎岳や大島僚太らだ。前者はコパ・アメリカで、後者はE-1選手権で、五輪世代の選手たちとともにプレーしている。

 それらライバルに打ち勝って、五輪のピッチに立つのは簡単ではない。危機感を募らせるのも当然だった。

「周りが持っていないものを出すということと、基本になる戦う姿勢というのは常に見せていかないといけないと思います。そこの二つは意識していければ」

 ライバルたちに勝って、メンバーに残るのは何が大切になるのかを問うたときに返ってきた答えだ。

 松本泰志にしかないもの――。それはすなわち、森保一監督も期待するものでもある。

「運動量のところ、ボックス・トゥ・ボックスのところと、あとはたくさんボールを蹴ることは常に監督に言われていました。ゲームを組み立てることだったり、前に関わる意識だったり。あとは守備のカバーというのも、すごい期待されていたんじゃないかなというのはあります」

 チームのベースとなる運動量、自陣のボックスから敵陣のボックスまで走り切り、戻り切る能力。そしてチームを勝利に導くゲームメイク。中山は守備的なボランチであり、この試合で松本には特に攻撃面の貢献が求められていたはずだ。本人は「ゴール前でもう少し決定的な形を増やしたかったですし、自分でもシュートを増やせればよかった」と反省したが、相手の実力の問題を脇においても、前に関わる意識や左サイドへのタイミングの良い展開など、攻撃面では随所に持ち味を示した。

 次なるステップは、もっとプレッシャーのかかる状況で、より強い相手を前にしてもこの水準でプレーしてみせることだろう。まだ、選ばれるかどうかは分からないものの、例えば来月のAFC U-23選手権でも――。

取材◎佐藤景 写真◎Getty Images

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