東京五輪の男子サッカー競技が25日に1次リーグ第2戦を戦い、A組の日本とメキシコが対戦した。日本は試合開始早々がからアグレッシブな姿勢を示し、久保建英の2試合連続ゴール、堂安律の大会初得点で前半のうちに2-0とリード。後半、相手にボールを持たれる時間が長くなり、終盤にセットプレーから失点したが、2-1で逃げ切り、日本は連勝でグループAの首位に立った。

上写真=堂安律のクロスに飛び込んで先制ゴールを決めた久保建英(写真◎Getty Images)

■2021年7月25日 サッカー男子1次ラウンドA組(@埼玉スタジアム2002)
日本 2ー1 メキシコ
得点:(日)久保建英、堂安律
   (メ)ロベルト・アルバラド

・日本メンバー:GK谷晃生、DF酒井宏樹、吉田麻也、板倉滉、中山雄太、MF遠藤航、田中碧、堂安律(79分:三笘薫)、久保建英、相馬勇紀(65分:前田大然)、FW林大地(79分:上田綺世)

・メキシコメンバー:GKギジェルモ・オチョア、DFホルヘ・サンチェス、セサル・モンテス、フアン・バスケス、エリク・アギーレ(43分:ブラディミル・ロロナ)、MFカルロス・ロドリゲス(57分:ホアキン・エスキベル)、ルイス・ロモ、セバスティアン・コルドバ、FWディエゴ・ライネス(66分:ウリエル・アントゥナ)、エンリ・マルティン、アレクシス・ベガ(67分:ロベルト・アルバラド)

まだ決勝T進出が決まったわけじゃない(森保監督)

 日本の持ち味が随所で発揮された。まずは2列目の『呼吸』だ。開始早々6分、酒井の縦パスに反応した堂安が裏に抜け出し、右サイドからマイナスのクロスを供給。そこに久保が飛び込み、左足でいきなりネットを揺らす。2人を中心とした2列目のコンビネーションは日本の特長だが、まさに以心伝心の連動で見事に先制してみせた。

 早々の1点は時にチームのリズムを狂わせる。だが、この日の日本はそんな心配無用だった。アグレッシブに2点目を取りにいく。前向きの守備から2点目を生む。相手GKオチョアがCBセサル・モンテスにボールを出したところで受け手をロック。MFカルロス・ロドリゲスが下がってボールを受けようとしたところで田中がボールをつつく。こぼれ球を相馬が拾って林とワンツーでボックス内に進入。左からクロスを上げた。クロスは堂安に収まらず、シュートに持ち込めなかったが、VARの結果、相馬に対してレイトチャージがあり、日本にPKが与えられた。敵陣でのボール奪取から展開した攻撃がPKを誘った格好。日本の狙いが結実したPK獲得と言えた。

 このPKを日本の10番、堂安が大胆に真ん中へ蹴り込む。日本が早々に2-0のリードを奪った。その後、日本はボールを持たれることにもなったが、集中した守りでメキシコの攻撃を跳ね返していく。相手の攻撃の要である左ウイングのライネスに対しても中山と、この日左MFで先発出場した相馬がしっかりと見張り、対応した。

 2点リードしたまま迎えた後半、日本は相手にボールを持たれて守備の時間が長くなった。それでも集中力を切らさず、しっかり対応し、『持たせる』展開に持っていった。ロングボールを跳ね返し、自陣に入ってくればマークを確認。相手を自由にさせず、68分には逆に速攻から堂安が抜け出し、ボックス手前で相手のファウルを受けた。このプレーでホアン・バスケスが退場。日本は1人多い状況で残り20分あまりをプレーすることになった。

 数的優位な状況となったことで、大会前に負傷していた上田も前節に続いて途中出場し、復帰間もない三笘も投入された。試合勘を取り戻す意味でも今後を見据えても重要な『試運転』となったが、ゲームはそのまま終わらなかった。

 終了間際の86分に自陣左サイドで与えたFKをロベルト・アルバラドに直接決められ、1点を返されてしまう。自陣深い位置で行なった日本のスローインからの蹴り出しが小さく、相手にボールを拾われて守備で後手を踏んだ。左サイドで田中と三笘でアントゥナを挟んで対応したものの、ファウルを取られてFKを与えることになった。

 試合後に遠藤が「欲を言えばもう少し回したかった」と振り返ったように、相手が10人だったことを考えれば、ボールの回し方や時計の針の進め方については改善の余地がある。ジャッジの不運もあったものの、時間帯を考えても自陣でFKを与えるようなプレーは避けたい。むろん、課題を把握し、修正してここまでチーム力を高めてきた選手たちは、そのことを把握しているに違いないが、さらに上に行くためには、こうした部分にもこだわる必要がある。そのことは再確認しておきたいところだ。

 90+3分には再びFKから相手にヘディングを許すシーンもあった。だが、谷の好反応で防ぎ、事なきを得る。終盤の相手の猛攻に対してはもう一度、手綱を締め直して対応。日本は、酷暑で行なわれた重要な第2戦で難敵メキシコを2-1で破った。

 これでグループAの首位に浮上。森保一監督は選手たちの頑張りを称えながらも「まだ決勝トーナメント進出が決まったわけではないので、次の戦いに向けて最善の準備をするということ、選手たちには切り替えてほしいと思います。チームとしても次のフランス戦に向けていい準備したい」とコメント。勝ってカブトの緒を締めた。連勝で決勝トーナメント進出へ大きく視界が開けたが、指揮官が言う通り、まだ何も手にしてはいない。中2日でリカバリーし、首位通過を目指して次戦のフランス戦に臨む。


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