東京五輪の男子サッカーが7月22日に開幕し、1次リーグA組の日本と南アフリカが対戦した。5人のDFを並べて守る南アフリカに対し、日本は試合開始直後からボールを持つものの、攻めあぐねる。しかし後半、久保建英が個の力を見せつけてゴールをこじ開ける。守備陣も集中した守りで無失点で切り抜け、日本が1-0で勝利を手にした。

上写真=値千金の決勝ゴールを挙げた久保建英(写真◎Getty Images)

■2021年7月22日 サッカー男子1次ラウンドA組(@東京スタジアム)
日本 1ー0 南アフリカ
得点:(日)久保建英

・日本メンバー:GK谷晃生、DF酒井宏樹、吉田麻也、板倉滉、中山雄太(72分:旗手怜央)、MF遠藤航、田中碧、堂安律(85分:町田浩樹)、久保建英、三好康児(60分:相馬勇紀)、FW林大地(72分:上田綺世)

・南アフリカメンバー:GKロンウェン・ウィリアムズ、DFリーブ・フロスラー(79分:コバメロ・コディサング)、レポ・マレペ、ルーク・フルールス、テンド・ムクメラ、スブシソ・マビリソ、MFグッドマン・モセレ(90+1分:エンコシンジピル・エンコボ)、テポー・モコエナ、タボ・セレ、ルーサー・シン、FWエビデンス・マクコパ

粘り強く戦って手にした価値ある勝ち点3

 日本は序盤からボールを握った。しかし守備に軸足を置き、最終ラインに5人を並べる南アフリカをなかなか崩せなかった。新型コロナウイルス感染症の陽性者が出て、濃厚接触者も多数いたために準備がままならなかった相手が守備的に戦うことは予想できていた。だが、割り切って守り徹する南アフリカに手を焼いた。

 押し込んだ状態でゲームを進める中で、32分にはボックス内で林が反転シュートを放つがGKにストップされ、33分には堂安のパスを受けた三好がGKと1対1の状況を迎えてシュートを放つがわずかに触られてゴールならず。ほぼハーフコートマッチの様相。ボールを動かし、テンポを変えてもゴールは遠い。徹底して守る南アフリカを攻め切れない時間が続いた。逆に前半終了間際には右サイドを使われて、CKに逃れる場面も迎えている。ボールを持ちながら決め切れない展開のまま、前半45分を終えた。

 迎えた後半、日本はスタートから立て続けにチャンスをつかんだ。49分には吉田のフィードに抜け出した林がGKと1対1の場面を迎え、その1分後には久保と堂安のコンビネーションから久保が狙った。だがいずれもゴールにつながらない。53分には林の折り返しに堂安がフリーでシュート。しかし、この好機もボールはGKの正面を突いた。

 チャンスをつくり、シュートも放つ。ただゴールだけが生まれない。そんな状況を変えるべく、日本は60分に三好に代えて突破力のある相馬を投入したが、それでもネットは揺れなかった。試合はいよいよ残り20分を切り、焦りも出始める時間に突入。いよいよ暗雲が立ち込めてきた、そんな時間帯に日本の背番号7が、ゲームを動かした。

 田中のサイドチェンジを右サイドで受けた久保が、相手を左にかわし、素早く左足を振り抜く。ボールは左ポストの内側に当たってゴールイン。前半からシュートを何本も放ち、「決めるなら自分と思っていた」という久保がついにゴールをこじ開けた。試合前には、かつて所属したFC東京のホームスタジアムでもあり、相性の良さを語っていたが、まさに有言実行。値千金のゴールを奪ってみせた。

 その後、77分にはゴール正面からシンにシュート打たれるなど危ない場面もあったものの、谷の好守と吉田ら最終ラインの集中した守りでしのぐ。中山に代わって左サイドバックに入っていた旗手を前に上げて、町田を投入。守備の安定をさらに図り、1-0で初戦をモノにした。

「できればもっとゴールを奪って、もっと楽な試合にしたかったですけど、初戦の難しさを選手たちは感じながら、そしてなかなかゴールが割れない中で選手たちが我慢強く戦ってくれたことは次につながると思います。簡単にわれわれの思った通りにならないということは今日の試合でも分かったと思いますので、今日の反省を生かして次の試合に進みたいと思います」

 大会前から「初戦が重要」と繰り返してきた森保一監督は、苦しみながらも粘り強く戦って勝ち点3を手にした選手たちを評価した。

 次戦は中2日でフランスに完勝したメキシコと対戦する。難しい試合になることは間違いないが、「勝ち点3を取って第2戦に進めるということはチームにとしてもいい形。また最善の準備をして、思い切ってプレーできるようにしたい」と指揮官。初戦でしぶとく戦って、しっかり勝ち点3を得たことは大きい。日本は最高ではないものの、最良の一歩を踏み出した。


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