7月12日に行われたU-24ホンジュラス代表とのテストマッチで、田中碧は先発して63分までピッチに立った。久々の実戦に課題を見据えつつも、自らの「頭の中」が順調に戦闘モードへと動いている実感を得た。間延びしてしまう課題を自らの頭で予防して、本大会とその先へ、明るい未来を予見している。

上写真=田中碧は久々の実戦となったU-24ホンジュラス戦で63分間プレー。「頭の中」が整理されている実感を得た(写真◎JMPA早浪章弘)

「自分が舵を取れればいいのかな」

 7月12日、U-24ホンジュラス代表とのテストマッチで、田中碧がプレーしたのは63分間。川崎フロンターレからドイツのフォルトゥナ・デュッセルドルフに移籍が決まったから、実戦は6月12日のジャマイカ戦以来となった。

「多少なりともゲーム勘だったりコンディションのところは、問題が出たなという感覚があります」

 率直な感触だった。しかし、大きな問題ではないようだ。

「ただ、技術ミスというものは多少あったとしても、自分のなかでは判断のミスだったり、見えていないというケースがなかったので、すごくポジティブにとらえています」

 田中は「頭の中が武器」と公言する。コンディションは取り戻すことができるから、頭がさびついてさえいなければ不安はない。

 その武器を生かす方法については、ここからしっかりと微調整を加えていくつもりだ。

「自分のパス一本で、加速させるのか落ち着かせるのかという判断はチームにもたらすことはできると思うので、その意味では自分がチームの方向性を示せるようなプレーをしていければいいのかなと思います」

 オーバーエイジで遠藤航が加わり、ボランチのパートナーとして彼の経験をチームに組み込むことは必要だが、寄りかかるつもりはない。

「みんなそれぞれが課題を感じていると思うので、いい方向に行くように自分が舵を取れればいいのかな、という感じはありますね」

 例えば、U-24ホンジュラス代表戦では前半は主導権を握り続けながら、後半は相手がまとめて5人も代えてきたこともあって、押し込まれるシーンが続いた。選手の中でも意見はさまざまだが、プレーによって目を揃えていくのが自らの役割だという自覚は強い。

「まずはボールを握ったときに、攻め切るのか、一回陣地を取りにいくのか、という部分がすごく大事だと思います。自分がボランチである以上、コントロールしなきゃいけないんですけど、ただやっぱり各々がプレーしているチームとも違うので、行ける判断というのも一つひとつ違うと思います。そこはやっぱり前の選手の意見を尊重しながら、自分のパスだったり声がけでメッセージを伝えられればいいのかなと思います」

 そこに失敗すれば陣形が間延びして相手にスペースを与え、リズムを明け渡すことになる。ならば、もちろん「少し間延びしてしまうことはしょうがないことでもあります」という前提条件をのみ込んだ上で、田中のイニシアチブによって「予防」してしまえばいい。

「自分たちは前からいくのか、ボールを握って自分たちの陣地をコンパクトにしてから攻め切るのか、人との距離感を合わせていければ、自ずとトランジションの部分でも圧をかけられると思います。パスも比較的つながる感覚もあるので、ビルドアップの段階から少しずつチーム全体として押し上げていくことが非常に大事になってくるのかなと思います」

 それが、自分たちが望むサッカーで戦い抜くための道筋だ。そして、その先には未来が開ける。

「この大会は、これからの日本サッカーもそうですし、次のワールドカップにもつながると思います。チームとしてもそうですし、個人としても田中碧という価値を上げるチャンスになると思うので、まずはチームが勝つことが一番で、優勝することが一番で、そこに自分の価値を上げていけるように貢献できればと思います」


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