3月24日、国立競技場で開催されたキリンチャレンジカップのウルグアイ戦で瀬古歩夢(グラスホッパーCZ=スイス)が念願の日本代表デビューを飾った。前半に失点こそ喫したものの、板倉滉(ボルシアMG=ドイツ)とセンターバックを組んで、随所で持ち味を発揮した。

上写真=CBとして先発フル出場を果たした瀬古歩夢(写真◎Getty Images)

■2023年3月24日 キリンチャレンジカップ(観衆61,855人/@国立競技場)
日本 1-1 ウルグアイ
得点:(日)西村拓真
   (ウ)フェデリコ・バルベルデ

「きょうが僕にとっては第一歩」

 第2次森保ジャパンの初陣。先発メンバーに抜擢された22歳はA代表のデビュー戦でも緊張で硬くなることもなく、わくわくしながらピッチに入っていた。立ち上がりから最終ラインでボールを持っても、慌てずに丁寧にパスを出していた。背後に蹴られたボールも冷静に対処。安易にタッチラインに逃げず、確実に味方につないだ。

「ビルドアップは自分の特徴。何度か、見せることはできたと思います」

後半には見せ場をしっかりつくった。1点を追う後半の75分、ウルグアイのプレスをうまく回避し、右サイドの菅原由勢へ展開。日本の同点ゴールは、ここから始まっていた。

守備ではスピードを生かしたカバーリングが目を引いた。前半26分は味方のミスをスライディングでカットし、ペナルティーエリア内でも果敢に肩をぶつけてピンチを防いだ。

「常にカバーする意識は持っていました。結果的に失点を防ぐことにもつながっていたのは良かったです」

 ただ、本人にとっては課題も多く出た試合だったようだ。1対1の局面で相手に負けるシーンを頭に浮かべ、厳しい表情も見せた。

「(試合を通すと)正直、個人的には満足していません。やられる場面もありましたので。ディフェンダーとしては、潰せるところで潰さないといけない。短期間で解決できるものではないので、徐々に高めていきたい」

 2026年ワールドカップに向けて、新生・日本代表の新たなポジション争いは始まったばかり。10年以上、日本代表のCBとして君臨してきた吉田麻也が不在のなかでまずまずのスタートを切った。

「きょうが僕にとっては第一歩。これからもっとアピールしていきたい。すぐに麻也くんを超えることはできないですが、今後、そうなっていけばいいのかなと」

 日本代表では何度も悔しさを味わってきた。21年の東京五輪はメンバーに選出されながら出場機会はなし。同年12月、その翌年の9月にもA代表に招集されたものの、デビューはお預け。それでも、前を向いて、努力を重ね、ようやく大きな壁を乗り越えた。

「やっと土俵に立てました」

 1年半越しで初キャップを刻んだ男の言葉には実感がこもっていた。

取材◎杉園昌之


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