カタール・ワールドカップでいよいよ日本が臨むのが、ノックアウトステージ初戦のラウンド16。相手は前回準優勝のクロアチアだ。ここを突破する目標を掲げてきたチームにとって、大一番である。山根視来は得意とするポジショニングの妙で、前に強いクロアチアの裏を陥れていく。

上写真=山根視来はスペインに勝って、川崎フロンターレのチームメート、谷口彰悟と喜びあった(写真◎Getty Images)

「本来のポジションにいない可能性が」

 グループステージ第2戦のコスタリカ戦が、山根視来にとってのワールドカップ・デビューだった。4バックの右でスタートし、後半に3バックに移行してからは右ウイングバックとして高い位置を取りつつ、5バックで構える守備のタスクもこなした。しかし、0-1で敗戦。

「個人としてはもっとボールを要求して、ボールに触る機会を増やしたいなという思いはあります。そこはコミュニケーションを取る必要がある」

 一人でスピードでぶち抜くよりは、変幻自在のポジショニングで周囲とコンビネーションを築きながら相手の穴を見つけて広げていくタイプ。だから、受けてさばいて、というリズムを作りながらゴールに迫りたい。

「変わらず人と絡んでいきながら、相手の目線が変わった瞬間に走ることは、どこが相手でも大切になってくる。自分の強みを出すところは攻撃でイメージしています」

 相手の立ち位置を見ながらポジションを取るのが得意だが、一気に仕掛けるきっかけは相手の「目の動き」にあった。目線を切った瞬間が、動く合図。そこに仲間から最高のパスが送られてくれば、ビッグチャンスを作れるし、自らゴールを陥れることもできる。

 相手がクロアチアであることも、有利に作用するかもしれない。

「スペインはすごくボールを動かすのがうまくて、クロアチアの場合は少し向かってくる、というか、言い方が難しいんですけど、スペインはよりビハインドにサポートがいるイメージで、クロアチアの選手たちはよりゴールに向かってくるイメージ。そこの差はあるかなと」

 ボールがある場所とボールホルダーの体の向きに対して、周りの選手がどこでサポートにつくのか。そのコンセプトの特徴は把握している。前に出てくれば、奪った瞬間にその背中側が空く。

「いろいろなポジションの選手が前に絡んでくるし、前の選手が後ろでボールを持って試合を作ったりするようなチームだと思います。だから、こちらが奪ったときに本来のポジションにいない可能性がある」

 そこに、ズレが生じる。混乱をもたらそうと仕掛けてきたその裏側には、こちらが有利になるもう一つの混乱が眠っている。そこを突きたい。

「保持するところは保持して、前線の選手はスピードのある選手ばかりなので、そういうところを狙っていければと思います」


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