日本代表は27日、キリンチャレンジカップでエクアドルと対戦した。序盤は相手の強度に後手に回る場面も多かったものの、後半は盛り返し、チャンスを生み出した。結果はスコアレスドローだったものの、W杯に向けて収穫があったと森保一監督は振り返った。

上写真=PKを止めて吠えるシュミット・ダニエル!(写真◎Getty Images)

■2022年9月27日 国際親善試合(@デュッセルドルフ・アレナ)
日本 0-0 エクアドル

画像: エクアドル戦に出場した日本代表

エクアドル戦に出場した日本代表

耐えるべき時に耐える力

 戦前、森保一監督が明言していた通り、日本は3日前のアメリカ戦から先発を総入れ替えして、この日のエクアドル戦に臨んだ。果たして立ち上がりの戦いぶりも、ハイプレスから連続攻撃を仕掛けたアメリカ戦とは打って変わったものになる。

 日本は相手の素早いアプローチと球際の強さに苦しみ、パスをつなげられず、リズムをつかめない状態が続いた。先発に、これまで同時にプレー経験が少ない選手たちが並んだため、呼吸が合わない場面も多く、エクアドルの中央を締める守備を破れない。左サイドハーフで先発した三笘も試合開始直後こそドリブル突破を仕掛けたが、15分過ぎからはエクアドルにボールを握られることになり、鳴りを潜めることになった。

 そして日本はボールロストから相手に自陣深い位置まで運ばれるケースが増えていく。攻めにギアを入れた途端に失ってボランチの田中や柴崎が急な切り替えを強いられ、背走する場面もしばしば。20分を過ぎるころには相手のマークにはまってボールを自陣から前に運べず、連続攻撃を浴びることにもなった。

 日本も40分に南野がボックス内で相手にプレッシャーをかけてパスミスを誘い、それを奪った古橋がシュートを放ったものの、相手GKの好守に遭って決め切れず。日本の決定機はこれくらいで、直後の43分にはイバーラにボックス付近まで持ち込まれ、シュートを許した。ポストに当たって事なきを得たが、前半は完全にエクアドルの方が内容で上回っていた。

 0-0で迎えた後半、日本は古橋に代えて上田を投入する。タイプの異なるセンターフォワードを入れることで攻撃の色味を変える策を打った。高さがあり、前線で起点になれる上田がいることにより、日本は陣地回復のロングボールも繰り出すようになる。57分には上田が絡んで左から三笘が進入。ボックス内での南野のシュートにつなげた。

 60分を過ぎたことから次第に相手に疲れが見え始めると、日本がボールを持つ時間が増えていく。67分に、3枚替えを実行。柴崎に代えて遠藤、三笘に代えて相馬、南野に代えて鎌田を投入して、ギアも入れ直した。70分には相馬のクロスから上田がヘディングシュート。さらに79分には鎌田がボックス内の上田にパスを通し、こぼれを堂安が狙う。さらにGKが弾いたところを上田がヘディングしたがGK正面を突いた。

 ゴールは決まらなかったものの、日本が優勢に試合を進めた。しかし80分、逆に日本がこの日最大のピンチを迎えてしまう。エストラーダへのクサビのパスに反応したCBの谷口が背後からアプローチし、足を蹴ってボックス内で倒してしまった。ボールが届く瞬間に足を出すエストラーダの狡猾さにはまった格好。難しいプレーだったが、細心の注意払うべき場面であったのも確かだった。

 この絶体絶命のピンチで存在感を示したのが、GKシュミット・ダニエルだ。エネル・バレンシアのキックを完全に読み切り、右へ飛んでストップ。日本を敗戦から救った。

 ピンチを乗り越えた日本は直後の84分に長友に代えて吉田を入れて谷口、吉田、伊藤で3バックを形成。同時に堂安に代えて伊東をピッチに送り、上田と2トップを組んだ。すると上田、伊東、鎌田が続けざまにシュートチャンスを迎えたが、いずれも決め切れず。後半は前半とは違って相手に強度でまさり、敵陣でプレーする時間を増やして連続攻撃を仕掛けた。

 それでも、ネットを揺らすことはできず。試合は結局、0-0に終わった。

「押されるシーンも多かった中、前半から選手たちが粘り強く戦ってくれて、自分たちのペースに持っていくように辛抱強く戦ってくれました。後半もピンチはありましたけど、最後まで我慢強く戦っていけば、われわれのペースに持っていけるということ(を示せた)。最後にビッグチャンスがいくつかありましたけど、そういう形で難しい戦いをどうやって自分たちのペースに持っていくか、勝ちに持っていくかということを、選手たちは頑張ってやってくれたと思います。(選手たちに残り2カ月、どう過ごしてほしいか?)選手に求めたいのは、まずは所属チームで、勝たせる存在として存在感を放てるようにしてほしい。所属チームでの活躍が自然と、代表の強化につながると思いますので、日常を頑張ってほしいと思います」

 序盤に相手の圧力に飲み込まれたこと。攻勢にあった時間帯にPKを与えたこと。終盤に立て続けにあったチャンスを決め切れなかったことは課題だ。出場国との対戦で、今一度、W杯で戦う難しさを知ることになったに違いない。一方で、森保一監督が言う通り、耐えるべき時間帯を耐え、じわりじわりと流れを自分たちに持ってきたのも確か。相手の時間に集中を切らさずに耐えしのいだ経験は、しっかりチームに蓄積すべきものになった。

 これで9月の活動は終了、残すテストマッチは本大会直前のカナダ戦だけだ(11月17日)。その前には、ワールドカップ本大会の登録メンバー、26人が発表される。森保監督は選考に関して所属クラブでのプレーも参考にすることを示唆しているが、今回アピールに乏しかった選手やそもそも9月の活動で選外となった選手は、相当な活躍が必要だろう。9月の活動はチームをW杯仕様にするためのものでもあったわけで、アメリカ戦で先発したメンバーは本大会の骨格になる可能性が高い。指揮官が選ぶのは、これまでに『積み上げてきた』カタールで勝つ確率を上げる26人であり、ここからら大幅に顔ぶれが変わることはない。

 9月シリーズで確認したことを踏まえて、日本は、26人の選手たちで歴史を塗り替える戦いに臨む。初戦のドイツ戦まであと57日。本番まで、すでに2カ月を切っている。


This article is a sponsored article by
''.