まさかの0-0。7月24日にE-1選手権の第2戦、中国戦に臨んだ日本は、攻め続けながらゴールを割ることができなかった。攻撃の中心は、脇坂泰斗。繊細なテクニックと大胆なシュートでゴールを何度も脅かしたが、決められない反省が次々と言葉になった。

上写真=脇坂泰斗は日本の攻撃を引っ張って、あらゆる方法でゴールに迫った(写真◎早浪章弘)

■2022年7月24日 E-1選手権 第2戦(@豊田ス/10,526人)
日本 0-0 中国

「決めきるところが足りなかった」

 間違いなく、攻撃の中心にいたのは脇坂泰斗だった。

 初戦の香港戦から先発メンバーをすべて入れ替えた11人がピッチに散り、脇坂は1トップの細谷真大の下に入った。右にはスピード自慢の宮市亮、左にはテクニシャンの森島司。後ろには橋本拳人と野津田岳人がボランチで並びつつ、かわるがわる前に出てサポートに入ってくる。

 チャンスは山ほど作った。5分に右からのFKをファーに送って橋本のボレーシュートを引き出した。9分、右サイドでスローインを受けると巧みに時計回りにターンして、そのままペナルティーエリア直前まで持ち運んで右足を振り抜き、あえてニアを抜く軌道を選んだが、GKに触られた。16分、左の森島から横パスが来て、右に持ち出して左隅を狙ったが、わずかに左へ。21分、宮市が右からドリブルで平行に入ってくるのに合わせて中央に潜り込み、短いラストパスを受けて狙ったが、シュートがヒットせずGKの正面を突くと、悔しさで思わずほえた。

 後半も53分に右から中に運んでから右アウトでラストパス、細谷がフリーでワントラップから狙ったが、力が入りすぎてバーの上へ。これがこの日、最大のチャンスだったかもしれない。58分には右から中央のスペースに斜めにスプリントした宮市の足元に滑り込ませるようにラストパス、追いつけば絶好のチャンスになったが、やや球足が長くなった。81分に西村拓真と代わるまで、他にも多くのチャンスに絡んだが、ゴールは生まれなかった。

「チームとしても個人としても結果が一番求められるゲームで、チャンスがなかったわけではないので、決めきるところが足りなかった」

 この言葉に尽きるだろう。脇坂一人だけでもこれだけチャンスを作っているのだ。

 初めて一緒にプレーする選手も多いから、どんどん身振りでパスのコースやプレスの方向を指し示し、要求しあった。

「押し込んでいる展開が多くて、ゴール前に人数をかけたほうがいいので、橋本選手や野津田選手には自分から前に来てほしいと言いました。距離感が近くなったところでワンツーを仕掛けたり、中に引きつけてから外というプレーがもっと必要でした」

「右の宮市選手はスピードアップできるし、左の森島選手は受ける技術があって、絡み方が違うので、できたこともあるし合わないところもあって、そこで合わせられればもっとチャンスになると思います」

「細谷選手が孤立してしまうので、僕が下がってもらいにいくのはベストの選択ではないと思っていました。もっとスライドしながら、僕が下がるならボランチの1人が前にポジションを取ったりすることが必要だったかもしれません。でも、前で仕事するほうが大事だと思っていたので、細谷選手や町野選手選手に絡めるポジションを意図的に取っていました」

 それぞれ、ボランチとの関係性、左右のバランス、FWとの距離感についての言葉だが、まさに持ち味の一つである「周りとつながること、周りをつなげること」の表れだ。360度の視野で、FWともサイドハーフともボランチとも関わり合いながら攻めに攻めた。しかし、相手の5バックはあまりにも引きこもっていて、ついに崩せなかった。

「5バックのどこを引き出すのかを、もっと意図的にやらないといけなかった。外を引き出してサイドを取っていくのか、真ん中に当ててそこを割っていくのか、その両隣を引き出してウイングが斜めに入っていくのか、相馬選手がやっていたように大外からドリブルで入るのか。そこをチームで合わせていきたいし、合わせられると思いました」

 そのための時間はあまり残されていない。中2日で韓国との最終戦が待っている。1勝1分けとなった日本は勝ち点4、連勝の韓国は勝ち点6。勝利しか優勝の道はない。

「森保監督からも次が大事だという話がありましたし、全員でもう切り替えているので、しっかり戦って優勝したい」

 チャンピオンになって初めて、ワールドカップへの道も開かれるはず。韓国戦では初戦のメンバーを中心に組むことが予想できるが、この日の脇坂の攻撃力が必要になるときがきっとやってくるに違いない。


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