鎌田大地は自分のミスを悔やんだ。だが、悔やんでばかりもいられない。6月14日のキリンカップサッカー2022決勝でチュニジアに0-3で完敗した日本にあって、鎌田がこの日最大のチャンスを逸したのは確かだ。それでも、ワールドカップへ向けてミスから学んだ2つの教えがある。

上写真=この日最大のチャンス。34分、伊東純也の折り返しに鎌田大地が突っ込むが押し込めず(写真◎JMPA早浪章弘)

■2022年6月14日、キリンカップサッカー2022(@パナスタ/観衆:31,292人)
日本 0-3 チュニジア
得点:(チ)モハメド・アリ・ベン・ロムダン、フェルジャニ・サシ、イサム・ジェバリ

「大事なのはワールドカップ」

「一つのミスでナヨナヨしていてもしょうがない」

 鎌田大地は自らのシュートミスに真正面から向き合い、力強く前に進む決意を示した。

 34分、相手GKのキックを右サイドバックの長友佑都がヘッドで競り勝って前へ。右ウイングの伊東純也がそのまま縦に持ち出してからセンタリングを送ると、GKとDFの間をきれいに割って逆サイドに向かっていく。そこに飛び込んできたのが鎌田だ。

 球足の速いボールにスライディングしながら足を合わせに行ったが、わずかに触れず空振りのような格好になって、ビッグチャンスを逃した。

「今日は自分が入れるだけでした。でも、そこに顔を出したことはいいことで、その回数を増やして決めきることが大事になってきます」

 自分のミスを忘れようというのではない。

「プラスにとらえれば、ワールドカップではなくてその前にミスしたことが良かった、としないといけないと思います。大事なのはワールドカップ。この4試合はいろいろとトライできたし、いいところも出たのでポジティブにとらえるしかない」

 鎌田自身が4-3-3のインサイドハーフとして十分に機能することを示したのも、「いろいろ」の一つだ。

「僕がインサイドハーフでプレーできると思っていなかったのではないか」と周囲からの印象を払拭するかのように、6月シリーズの4試合のうち3試合で存在感を示した。パラグアイ戦はフル出場、ブラジル戦は後半の45分、このチュニジア戦では先発して60分までピッチに立った。十分なプレー時間を手に入れて、他の選手にはないような、自慢のキープ力と意外性のあるパスを織り交ぜる、独特のタイムマネジメントを見せた。

 では、ワールドカップではどう戦うべきなのか。6月シリーズにおいて、パラグアイとガーナにはどちらも4-1で快勝しながら、ブラジルには0-1、チュニジアには0-3で敗れたという事実から、鎌田が導いた答えがある。

「今日もうまくいっていない時間に割り切って守備の行き方を変えるとか、ハイプレスからロープレスに変えたりと、まだまだもっとうまく試合中に変えることはできると思います。ワールドカップでは失点することがダメで、強豪になればなるほど、僕たちがゼロで抑えていけば相手は勝たないといけないと思って、こちらがカウンターに出るスペースが空いてきます。だから、どんなに良くなくても失点しないということ、そしてうまく行っていないときに変える力が必要だと思いました」

 2つの答えをピッチで証明するために、残り5カ月の勝負に出る。


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