6月6日のキリンチャレンジカップ2022で、日本はブラジルに0-1で敗れた。最小失点だったとはいえ、シュート数は日本の4本に対してブラジルは18本と圧倒的。遠藤航が指摘したのは、その攻撃についてだった。攻守をつなげる役割を与えられたアンカーとして、遠藤が見つけた課題とは。

上写真=遠藤渡はセットプレーからヘディングでゴールを狙った(写真◎JMPA福地和男)

■2022年6月2日 キリンチャレンジカップ2022(@国立競技場/観衆63,638人)
日本 0-1 ブラジル
得点者:(ブ)ネイマール

「しつこさは日本人らしさ」

 遠藤航がピッチの上で導いた回答は「両方感じるところがあった」である。

 両方、とは「相手もそんなにコンディションが良くなかったと思いますけど、試合はそんなに悪くなかった。でも、最後に1点取られるところは、まだまだ日本の力に差はあるのかな、と。その両方で感じるところがあった感覚です。全体的には悪くはなかったかなと思いますけど」という意味。課題も収穫もある中でも、ややポジティブな方に寄った感触だ。

 守備ではポストやバーに助けられたシーンもあったが、全員が体を張って止め続けた。だからむしろ、アンカーとしては攻撃での物足りなさが口を突く。

「前へ前へという意識があって悪くないんですけど、個人的にはやり直すプレーがあっても良かったかなと思っています」

 ブラジルの迫力満点の攻撃を止めたあとに、人数の少ない前方へとボールを送り込むことは理にかなってはいる。しかし、そればかりになってしまえばリズムを変えられない。

「ハーフタイムにはその話をしましたけど、後半は今度は前への勢いを失って、やり直すことをやりすぎて前に行けなくなりました」

 どちらかに極端に振ってしまったという感覚だった。

「アンカーでボールを持てたので、もっとインサイドハーフにつけられればな、と。でも、前を向いたときの距離感があまり良くない感じだったので、もうちょっと僕のところで長いボールを(伊東)純也や(南野)拓実に出したりということを織り交ぜながら、縦につけるときはつける、とすればよかった」

 やり直す作業は時間を作るメリットがある一方で、プレスの餌食にもなりやすい。「時間を作る」のと「スピード感を損なう」のは、同じ現象を別の視点から解釈しているとも言え、つまり相手が後者だと認識すれば一気に襲いかかってくる。

 実際に41分には中盤右寄りで横パスを引き受けてターンしようとしたところでヴィニシウス・ジュニオールに背後から迫られて奪われ、ドリブルで持ち運ばれたところで後ろから足をかけて倒し、警告を受けている。自らのミスによるピンチをイエローカードと引き換えに止めた形だが、ミスをしなければカードをもらう必要もFKを与える必要もなかった。

 ボールの出し入れや時間の強弱に課題を残した一方で、持ち味は発揮したという自負がある。

「1対1は強豪相手にも個人的にはやれると思っています。相手も嫌がっていたし、しつこさは日本人らしさだと思います。ブンデスでもこだわっているので、良さは出せました。ワールドカップに向けても、そこが重要であるのは間違いない」

 2年連続でブンデスリーガの「デュエル王」になった自信は、カナリア軍団を前にしても色褪せることはなかった。


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