オーストラリア戦前のオンライン取材に登場した久保建英は、いつもと変わらず冷静だった。24日の試合は雨の中で行なわれることになりそうだが、どんな状況であれ、勝利に向かってプレーするだけと、その姿勢には一切のブレがなかった。

上写真=前日練習のためスタジアムを訪れた久保建英(写真◎JFA)

前回とは互いに置かれている状況が違う

 オーストラリアとの前回対戦は、ケガのために招集外だった久保だが、今回の試合の位置づけが、昨年10月の前回対戦と異なっていることを重々理解していた。

「前回と今回ではやっぱり僕たちの置かれている状況が違いますし、ましてや相手も状況が違う。前回の戦いを参考にするというよりはまったく違う試合になると思いますし、お互いに後がない状況で、試合の入りも厳しいものになると思う。90分間を持たせようというよりは、どんどんみんなギアを上げて、相手も来ると思う。何回かサポーターも含めて難しいアウェー戦は経験しているつもりですけど、それ以上のものが待っているのかなと思っています」

 日本は現在勝ち点18で2位。オーストラリアは勝ち点15で3位。両チームの間には勝ち点3の差があり、日本が優位な状況にあるのは明白だ。しかし、得失点差は日本が6であるのに対し、オーストラリアは9。今夜の一戦で敗れると得失点差で逆転され、日本は3位に転落してしまう。つまりは、直接W杯本大会に行く権利を失い、プレーオフに回る可能性が高まる。

 まさに相手にとっては背水の陣。そして日本にとっても負けは許されない戦いになる。しかしながら双方ともにケガ人や新型コロナウイルスの影響で参加を辞退した選手がおり、先発メンバーの顔ぶれは前回対戦から大きく変更されることになりそうだ。日本は大迫勇也が不在のため、最前線の選手が代わる。上田綺世、あるいは林大地の先発が予想されているが、そのことについて聞かれた久保は、「どちらも個人的には長く一緒にやってきて、だいたい特徴は分かっていますし、それぞれ違った特徴を持ったいい選手だと思います」と即答。そして「例えば大迫選手がいない、酒井(宏樹)選手がいないというのはありますけど、基本的に誰が出ても(機能する)といことをチームとして掲げているなかで、いない選手の話をしても仕方がないと思います。今回いる選手で戦っていくのがベストだと思うので、『大迫選手がいない』と言うと、いま同じポジションでしのぎを削っている上田選手や林選手に変なプレッシャーを与えることになると思います。そこで自分たちは今いる選手たちで頑張らないといけない。僕としては、もしも一緒に出るチャンスがあれば、彼らはフォワードなので点を取って勝てればいいと思いますし、できるだけサポートしていけたらいいと思っています」と現有戦力でベストのパフォーマンスを発揮することにフォーカスしていた。

 運命の一戦は、雨の中で行われることになりそうだ。難しいピッチコンディションになることも予想されるが、「雨の試合は嫌いですね。どうしてもグラウンドがぐちゃぐちゃになったりとか、ロングボールが多くなったりとかするので。お互いに目指しているサッカーができないと思いますし。どうせやるなら最高のコンディションでやりたいなと思いますけど、ただ天候なんて僕が望んだところで変わるわけではないので。しっかり集中していきたい」と久保。どんな状況でも目指すところは変わらないと、勝利に力を尽くす考えを示した。

 勝てば突破、負ければプレーオフに回る3位に転落。文字通りの運命の一戦。久保は「みんなで良い準備をするだけ」とオーストラリア戦へ意識を集中させた。


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