長友佑都が問いかけた。「魂の叫び、聞こえましたか?」。カタール・ワールドカップ最終予選第8戦のサウジアラビア戦で、長友佑都が跳ね回った。1月27日の中国戦のプレーぶりで厳しい批判にさらされ、「生きるか死ぬか」の覚悟で戦ってハイパフォーマンスで応えてみせた。

上写真=長友佑都が逆境をはねのけるたくましさで、サウジアラビア撃破に貢献!(写真◎JMPA小山真司)

■2022年2月1日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第8節(@埼玉スタジアム/観衆19,118人)
日本 2-0 サウジアラビア
得点:(日)南野拓実、伊東純也
   (サ)なし

「魂に火をつけてくれました」

「今日だけでいいので、賞賛という名の栄養をください!」

 長友佑都は試合中と同じようなエネルギーで、充実の笑顔を見せた。

 決死の覚悟だった。1月27日の中国戦は低調で、代わって入った中山雄太がアシストを記録したこともあって、あちこちに不要論という逆風が吹き荒れた。

「厳しい批判が魂に火をつけてくれました。本当に感謝しています」

 序盤からサウジアラビアの懐に飛び込んで、粘り腰でボールを奪い取り、臆せず高いポジションを取って攻撃を活性化させた。ワールドカップ出場のためには首位のサウジアラビアに負けられないし、何より自分が自分に負けるつもりはなかった。「これでダメだったら代表も終わり」と自分自身に覚悟を突きつけた。

「魂込めて戦いましたし、自分でもびっくりするぐらいの魂の叫びが聞こえました。興奮しました」

 スタンドからの後押しにも「愛を感じました。ブーイングされると思っていた」と感謝したが、もちろん、そんな激情だけでプレーしていたわけではない。

「中盤もセンターバックも含めて、しっかりつないで時間を作ってくれて、僕が高い位置を取る時間ができました。左サイドが躍動するも停滞するも、すべて自分自身だと改めて思いました。あれぐらい攻守に躍動しなければいけないし、躍動できなければ僕がいる意味がないです。(南野)拓実を中に行かせられないのも僕の力不足でしたけど、今日は拓実もいいプレーをしてくれてうれしいです。彼を称えたいと思います」

 自分が感情をぶつける場を作ってくれた仲間たちの献身が、はっきりとその目に映っていた。

 50分の追加点は、長友が相手と競り合いながら足に当てたボールが伊東純也に渡り、目の覚めるようなミドルシュートが突き刺さった。アシストになった。

「アシストをつけてくれたんですか? 優しいですね」

 望外のプレゼントになった。「狙ってないんですけど、狙ったということにしておいてください」とうれしさは隠さなかった。

 ただ、この日のプレーですべてが解決するわけではない。まだワールドカップ出場は決まっていない。「今後も自分がダメなときは、大きな批判をしてほしい」とも話す。

「僕は何もしてないですし、ベテランなのに一番バタバタしてしまった。みんなの落ち着きに支えられました。みんなかわいい奴らで、(批判を受けた自分を)サポートしてくれて、今日はベテランとしてもプレーで見せないといけないと、強い気持ちがありました。いいチームで、本当にいい後輩に恵まれました」

 取材を受ける隣で、「かわいいい後輩たち」がその様子を撮影していたという。

 大好きだというこのチームで、まだまだやらなければならないことがたくさんありそうだ。


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