カタール・ワールドカップ最終予選で、日本は2月1日にサウジアラビアを迎える。4ポイント差で前を行く首位チームから勝利を奪わなければならないが、4-3-3システムを動かす田中碧がキーマンになりそう。自らに求めるのは、攻撃へのパワーだ。

上写真=田中碧はより攻撃的にプレーするための「準備力」を磨く(写真◎小山真司)

「強気にいくことが重要で」

 田中碧が自分に対して指摘するのは、いつも「まだまだ」である。

「ボールを持った瞬間にどういうプレーをするかが、インサイドハーフは重要です。ボランチではなく一つ前でプレーしている以上、ゴールやアシストでよりクオリティーの高いプレーを求められるので、まだまだ。物足りない、というか、もっとやらなければいけない」

 2021年10月のオーストラリア戦で4-3-3の布陣を採用し、田中が先発で最終予選に初登場すると、いきなり8分に先制ゴールを決めてセンセーショナルな印象を残した。そこからは主軸として連続で先発しているが、一方で、遠藤航と守田英正とともに中盤の3人がいずれも守備に強みを持つ選手で、前線との距離感の調整や攻撃へのより多くのパワーが求められている。

 改善のイメージはある。それを「準備」という言葉に集約する。

「冷静にはっきりと局面が見えていれば、ボールを受ける前に準備できます。すべての要素を含めてチャレンジできるかできないか。事前に認知できれば、技術的にもメンタル的にも準備できます」

 相手を見ながらプレーを選択することを最大の強みだと自己評価するだけに、「準備力」を高めることに集中するのだ。

「僕はどちらかというと性格的にはポジティブな方ではない」と意外な自己分析。「だから、一本のパスに対するリスクや確率、チャンスを天秤にかけると、なるべくミスしない方に走るんです。それがいいときもあれば悪いときもある」と客観視する。

 中盤でミスをしないことが安定や堅実につながって、チームの土台を作ることにつながっている。しかし、ことゴールへ勝負をかけるときには、また違う意識が必要になってくる。

「もっと大胆にプレーできればチャンスを作れると思います。天秤にかけたときに、通せる技術をつければチャンスになるし、いまでも技術的に出そうと思えば出せるけれど、そこで強気にいくことが重要で」

 技術がないわけでもないし、大胆さに欠けるわけでもない。その両方を遠慮なく繰り出すための準備を自らに求める。だからもしかしたら、田中の本質を理解するには、ボールに触る前の時間をもっと知ることが必要かもしれない。

 田中がポジションをつかんだオーストラリア戦は、その直前のサウジアラビア戦で0-1で敗れてチーム状況がさらに急降下したタイミングだった。だから試合には出なかったが、サウジアラビアには借りを返さなければならない。

「試合が始まってみないと分からないけれど、よりしっかりボールを握ることが大事だし、相手も握りたいのでどう奪うかも重要です。いい形で取れればカウンターができるので、攻撃のビルドアップと守備でどうはめるかが重要になってきます。前回もカウンターでチャンスを作っているし、より相手が高く出てくる分、後ろのスペースが空くので、奪い方と奪ってからがキーになると思います」

 勝利への道筋は見えている。あとは田中が、準備万端で大胆に、ゴールに突き進めばいい。


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