カタール・ワールドカップ最終予選の7試合目にして、その舞台に初めて立ったのが谷口彰悟だ。Jリーグ王者、川崎フロンターレの主将が焦りもなく、中国を堂々と封じて無失点に抑えた。ビルドアップに長ける特徴を生かしつつ、だからこそ見えた反省もあるという。

上写真=谷口彰悟が最終予選で初出場。中国を相手に余裕のプレーぶりだった(写真◎小山真司)

■2022年1月27日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第7節(@埼玉スタジアム/観衆11,753人)
日本 2-0 中国
得点:(日)大迫勇也、伊東純也

「持ち上がったときに相手がどう動くのか」

 イメージがふくらんでいた。だから、どんどんパスが出た。

 谷口彰悟が最終予選に初めて出場した中国戦。吉田麻也と冨安健洋が2人とも負傷で欠場する事態にも、堂々と中国に立ちはだかった。

「相手はブロックを組んでくると予想していて、そうなると自分や(板倉)滉がボールを持つ時間が長くなるだろうと」

 そうなれば、いつも川崎フロンターレで見せているのと同じスタンスでプレーすればいい。

「簡単にインサイドの守田(英正)や(田中)碧をいかせるよりも、彼らが相手の嫌なところに入ってからパスを出し入れしたり、そこを一つ飛ばして(南野)拓実や大迫(勇也)さんに入れればチャンスは広がると思っていました」

 ビルドアップで優位性を保つことは、自分のストロングポイントだと常に口にしてきた。中国はセンターバックに対してほとんどプレッシャーをかけに来なかったから、いつも以上に余裕を持ってボールを前に運んだ。インサイドハーフにシンプルに預けるよりも、一工夫を加えてからよりチャンスに結びつく可能性を高めてボールを配ろうとしていった。

「スペースはあったので、ボランチやインサイドの選手に預けるだけではなくて、自分で持ち上がったときに相手がどう動くのかを見ていました。前半は相手が間を締めてきて、そうすれば外が空くから(長友)佑都さんを高い位置に出してボールをつけたり、逆に外切りでそこを守ってくれば中が空くことになります」

 相手を見ながら判断をどんどん上書きしていくことは、お手のもの。ただ、何度もパスを送り込む余裕があったからこそ、小さな感覚のズレもあった。

「もっと合わせなければいけないと思います。感覚的なものだったり、ここに顔を出してほしい、ということもあるし、前で受ける選手にもそういうことがあると思うので、もっともっと良くしていかなければいけない」

 緊張はあったものの、落ち着いてプレーできていた、という自己評価。でも、だからこそ、より精度を高める必要があったという反省が繰り返される。

「間が開いているのが見えていたのに、出していいのかどうかためらうシーンがあったんです。入れてもいいものか、それとも受ける側としてはちょっと待ってくれというタイミングなのか。そこはもっともっと良くなっていくと思います」

 守備では、同じく最終予選初出場の板倉滉とともに完封することができた。だが、次のサウジアラビアは格が違う。速くてうまくて狡猾でやっかいだ。10月のアウェーゲームでは0-1で敗れている。

「いい意味で今日の試合を忘れないといけない」

 それが、難敵へのリベンジに必要な心構えだ。

「もっと迫力があって、前に前に来るチームだと思います。そこのスイッチは切り替えていきたい。今日よりもピンチは増えるかもしれないけど、やってきたことに自信を持って、センターバックがバタバタするとチームは落ち着かないですから、いい準備をして、どこかで余裕を持ったプレーができればサウジ戦でも戦えると思います」

 自分への期待は、大きい。


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