上写真=脇坂泰斗は久々の招集でリラックスしながら練習に集中できている(写真◎山口高明)
「見てもらいたいという強い気持ちが」
もう「初めて」ではない。
脇坂泰斗は2021年3月に初めて日本代表に選ばれ、韓国との親善試合ですぐにデビューを果たした。再び日本代表候補に選ばれたのは、それから10カ月後の今回。やや間が空いたものの、2度目の参加だから落ち着きがある。
「前回呼ばれたときは初招集で海外組の選手も多くいたので、まずは自分の良さを知ってもらうところから始めました。今回は国内組中心なので、すでに分かっていてもらいつつ、こちらもみんなの良さを分かっているので、そこがステップアップとしてあります」
この10カ月の間に川崎フロンターレではJ1連覇を果たし、その中心的な役割を担った。ピッチの上で手にした自信がふくらんだ。
「守備の強度やボールを持ったときの質は格段に上がっています。その2つの部分でステップアップしているので、代表のトレーニングもスムーズにできています」
川崎Fでは新シーズンを前に、背番号を変更した。8から14へ。クラブのレジェンドである中村憲剛さんが長く背負ってきなナンバーを選んだ。中村さんは2020シーズンで引退するときに「自分からつけたいと名乗り出る人につけてほしい」と話していた。
「強い意志があったので、つけさせてもらいました」と脇坂。
「14番をつけさせてもらうことでプレッシャーもありますし、はねのけることによって大きく成長すると感じています。それが代表活動につながるし、クラブの発展にもつながると思います」
「いろいろな心境があって、やらなきゃもいけない、というのも、プレッシャーも、成長したいというものもあります。クラブと代表は別物と言いつつも、同じものだと思っていて、注目してもらっている分、ハードルも上がるので、そこで何ができるかが求められてきます。このシーズン、見てもらいたいという強い気持ちがあります」
中村さんからは「たくさんメッセージをいただきました」。
「一番は、泰斗なりの14を作り上げてくれ、ということでした。僕もそこを大事にしなければいけなと思っています」
覚悟のシーズンの最初に、中村さんも活躍してきた日本代表の舞台で活動できることも最高のめぐり合わせだ。ワールドカップイヤーを迎え、この場所で自分にしかできない役割があることがしっかりと見えている。
「自分は合わせられる選手なので、チームがうまく回るように」することである。
「自分の良さを出すこともそうですけど、味方の良さを早く知って引き出せるようにしたい」
短い時間でチームとしての結び付きを強めなければいけない代表チームは、味方を生かすことで自分が生きる「操縦役」がいるかどうかで、レベルアップの濃度と速度は変わっていく。
「攻撃のところで得点に関わること、守備の強度も求められているので、攻撃の時間を長くするためにも守備をしっかりして切り替えていきたい」
攻守の切り替えのスピードと強さ、という森保一監督が求めるポリシーは、もちろん川崎Fで日常的にこなしているタスク。リラックスしてそのまま出すことができれば、周りを生かして自分が生きるという脇坂の価値を、余すことなく代表チームに組み込むことができるだろう。