ベトナム戦でアジア最終予選に初先発・初出場を果たした山根視来が12日、オマーンからオンラインで取材に応じた。「経験したことのないプレッシャー」の中でプレーし、勝利に貢献した右サイドバックは、ヒリヒリするような90分で何を感じ、何を得たのか。

上写真=ベトナム戦で、最終予選で初出場・先発した山根視来(写真◎JFA)

経験したことのないプレッシャー

「絶対に勝ち点3が必要な状況だったので、それを達成できたことにホッとしています。だた、すぐに次の試合が来るので今はそこに向けてコンディションを調整しています」

 安堵の思いをまず口にしたのは、山根自身がかつてないほどのプレッシャーを感じていたからだった。「これまでの試合は全然違いました。勝たなければいけない試合で、負けてしまったらとも考えた。日本サッカーがどうなるのかももちろん考えた。経験したことないプレッシャーを感じながらプレーしていました」。そんな思いからか、とくに前半は「安パイなプレーが多くなった」という。やはり国を背負い、W杯出場をかけて戦う重圧は想像以上だった。

 それでもはた目には、山根は自らの持ち味をしっかり出したと映る。戦況と味方の立ち位置を踏まえて的確にポジションを取っていた。攻撃の局面でボールの経由地になり、守備では粘り強いプレーで相手の攻撃を封じた。所属する川崎フロンターレの4-3-3と代表のそれとでは攻守の比重の置き方が大きく異なるが、それでも十分に役割を果たしていた。

 この試合でオーストラリア戦の先発メンバーから変更されたのは、山根だけ。森保一監督は先発起用の理由について、酒井宏樹がケガでプレーできなかったことに加え、「よりボールを握りながら戦うことで山根の良さが生かせる」と考えたからと説明。それはすなわち、4-3-3の右サイドバックとしての振る舞いを心得ているから、ということでもあるだろう。

 山根はベトナム戦で縦関係を組む右ウイングの伊東純也の特長に合わせて自身のプレーを調整した。「1人で縦に行ってクロスやシュートを打てる選手なので、(自分が上がって)人を引き連れない方がいいと思った」。攻撃参加を自重しつつ、とくに後半は伊東が裏へ飛び出すタイミングを見逃さないように集中してプレーした。

 また、川崎Fで今夏までともにプレーし、この日右のインサイドハーフを務めた田中碧とも試合中にコミュニケーションを取り、プレー精度を高めた。山根が重要な一戦で及第点以上のプレーを見せたことで、日本は伊東+酒井とはまた異なる特長を持つ右サイドのタンデムを手にしたことになった。

「何回か3人目で(ボールを)受けたいなというシーンもありました。そこを(選手間で)共有できたらいいと思いますし、引いてくる相手、頑張ってスライドしてくる相手に横の揺さぶりはすごく効くと思うので、ゆっくりやるところと早く攻めるところを、時間がある選手がゲームメイクしていく必要があるんじゃないかなと思います」

 さらに向上するためのポイントも山根は整理済みだった。16日(日本時間25時)のオマーン戦についても「大阪のとき(=第1節)の試合の印象だと横に動かすだけじゃなくて、相手の目線を変える斜めのパスとかを入れていければ、相手も守りづらくなるんじゃないかなと思っています」と指摘し、勝利につながるプレーをイメージしていた。次戦にどんなフォーメーションで臨むかは分からないが、日本が4-3-3を採用するなら、引き続き山根を起用する可能性は十分にあるだろう。


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