日本代表は11月に行なわれるカタールワールドカップ・アジア最終予選の2試合をアウェーで戦う。DAZNで独占配信(中継)される今回の2連戦のうち、中村憲剛氏は11日のベトナム戦(21時キックオフ/配信20時20分開始)で解説を担当。サッカーの深みを分かりやすく語る解説に定評がある中村憲剛氏に、ベトナム戦、そしてオマーン戦の勝負のポイントと注目選手を聞いた。

上写真=11日のベトナム戦をライブ配信するDAZNのメインチャンネルで解説を担当する中村憲剛氏

取材・構成◎北條 聡

4-3-3に適応する人材を招集した意味

――今回、日本代表に選出されたメンバーを見て、率直な感想を。

憲剛 10月のオーストラリア戦(○2-1)で試みた4-3-3のシステムを、自分たちのスタイルとして組み込もうとしているんじゃないかと感じましたね。従来の4-2-3-1と同様に。

――どのあたりにそれを感じますか。

憲剛 今季、J1リーグで連覇を達成した川崎フロンターレの選手が数多く選ばれているところですね。谷口彰悟、山根視来、旗手怜央、さらに現在は欧州でプレーしている守田英正、田中碧、三笘薫も含めると、計6人になります。同時期に同じクラブでプレーしていた選手がこれだけ集まるというのも近年の日本代表ではめずらしいかもしれません。

――布陣はもとより、相手を見ながら各々が立ち位置を変えてボールを前進させるビルドアップや両ウイングの外切りプレスなど、オーストラリア戦で実装されたシステムは、川崎Fのそれに近いものがありました。

憲剛 そうした点を踏まえ、新システムに適した人材をより多くピックアップしたという見方ができるかもしれないですね。先のオーストラリア戦で守田と田中が相応の力を示したことによって、こうした流れになった可能性はあります。あとは川崎Fがすでに優勝を決めたので、招集しやすくなった面もあると思います。

――従来のシステム(4-2-3-1)と使い分ける、ということも可能になりますね。

憲剛 これまでのやり方を捨てる必要は全くないと思います。戦い方の選択肢が増えたという意味でもメリットは大きいかと。対戦相手も日本が何をやって来るのか迷うでしょう。

――今回、DAZNで配信されるベトナム戦でメインチャンネルの解説をやられるということで、ポイントを教えていただけますか。

憲剛 個人的なイメージですが、若い選手を抜擢する可能性もあるのかなと思っています。そもそも連戦ですし、初戦で敗れたオマーンとのアウェー戦が次に控えているという状況でもありますからね。例えば頭から左のウイングに三笘、左のインサイドMFに田中、左のサイドバックに旗手を使うといった具合に。この3人はフロンターレで鳴らしたユニットですから、少なくとも連係面では申し分がない。また、CFに上田絢世を据える選択肢もあるでしょう。三笘や田中、旗手とは今夏の東京五輪で一緒に戦っていますから、それぞれの特長を把握している間柄です。

――森保一監督が五輪代表を兼任していた利点が生きることにもなりますね。

憲剛 それこそ森保監督がよくおっしゃっている「1チーム2カテゴリー」の効力を最大限に発揮できそうですよね。あとは連戦の1試合目という部分も踏まえて、目がそろった選手たちを使えたい、という思惑もあるんじゃないかと思います。

――もう少し具体的に教えてください。

憲剛 連戦の1試合目は、ほとんど準備の時間がありません。選手たちがチームに合流して、すぐに試合です。当然、最優先すべきはコンディションですが、やり慣れた選手同士を組み合わせる利点は大きいんじゃないかと。

――練習時間が少なく、戦術面での細かい落とし込みも難しいですしね。

憲剛 ある意味、先月のオーストラリア戦が一番いいトレーニングだったかもしれません。人選も布陣も戦い方も、ぶっつけ本番に近い状況で、試合中に選手同士が密にコミュニケーションを取りながら、新しいやり方を自分たちのモノにしていった印象があります。その点を重視して、同じスタメンで戦うというのも有力な選択肢かなと。あとは全選手が集まり、個々の表情や雰囲気などを見ながら、最終的に人選を決めるのではないと思います。


This article is a sponsored article by
''.