キャプテンに笑顔が戻ってきた。吉田麻也は10月2日のカタール・ワールドカップアジア地区最終予選でオーストラリアを2-1で下した一戦で、決勝点につながるロングパス。新システムの導入によって息を吹き返し、ワールドカップへの挑戦をつないだ。

上写真=吉田麻也が殊勲の田中碧を抱きしめる。この最高の笑顔!(写真◎小山真司)

■2021年10月12日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選(@埼玉スタジアム/観衆14,437人)
日本 2-1 オーストラリア
得点:(日)田中碧、オウンゴール
   (オ)アイディン・フルスティッチ

「遅攻も速攻も両方やれるように」

 最終予選の初戦でオマーンに負けてからずっと、キャプテンとして苦しそうな顔をしていた。しかし、絶対に勝たなければいけないオーストラリア戦で、苦しみながらも2-1で勝ちきって、吉田麻也は少しだけ安堵の表情をのぞかせた。

「ホッとしています。最低限の結果ですし、1-1に追いつかれたけれど残り20分ほどで、時間は十分あると思いました。僕自身、ロングパスのミスがさんざんあって、最後につなげてよかったです」

 田中碧が8分に先制しながら、70分にFKを直接決められて同点とされていた。迎えた86分、ハーフウェーライン付近から吉田が前線へロングパス。浅野拓磨が柔らかいトラップから左足を振ると、相手に当たったボールが少しホップして、GKが手に当てたものの右ポストをたたいて、最後はカバーに戻ったDFに当たってオウンゴール。ついに勝ち越した。吉田の的確なロングパスが「アシスト」のような形になった。

 この日は4-3-3システムを採用する大胆な策に出た。守田英正、田中碧を最終予選で初先発させ、中盤の配置を変えた。

「相手の特徴を消すことと、自分たちがボールを保持できるようにうまく扱える選手を前に置いて、遅攻も速攻も両方やれるように意識して組みました」

 守備では4人のDFの前に右から守田、遠藤、田中を並べて迎撃し、その前で伊東純也、大迫勇也、南野拓実が制限をかける。もちろん、時間がない中での新布陣だから小さなズレが生じて危険な場面も作られたが、それでもこの距離感は抜群だった。

「オーストラリアとは6ポイントゲームが2つ残っていたので、ここで一つ勝って次につなげなければいけないと思っていました。首の皮1枚つながっている状況なので、満足せずに盛り返せば、オーストラリアとは3月にアウェーで厳しい戦いが待っています。そこまで勝ち点を積み上げたい」

 残りは6試合。もちろん、一つひとつ勝ち点3を積み上げることが必要ではあるが、9戦目に敵地で戦う試合が「最終決戦」になる可能性も、この日の勝利で十分に出てきた。そこからの逆算で、11月のアウェー連戦では勝ち点6を手にしたい。

「引き続き、状況は厳しいままなので、ここでしっかり勝ち点を重ねていきたいと思います。アウェーが続いて移動距離もかなり長くて、疲労もたまってくるころだと思うので、全員がいいコンディションでケガなく次のシリーズを迎えたいと思います」

 まずは11月11日にベトナムにしっかり勝って、16日には初戦でまさかの黒星をたたきつけられたオマーンに、その借りを何倍にもして返さなければならない。


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