日本代表の中盤を引き締める存在として、不可欠になった遠藤航。ボール奪取の迫力は見ていて気持ちがいいが、単にフィジカルのパワーをかけてぶつかりにいっているわけではない。クレバーに状況を判断して奪うテクニックの奥深さよ。

上写真=遠藤航は日本代表でも中堅に。「引っ張っていける存在になっていかないと、という感覚はある」(写真◎JFA)

「一人で奪えているように見えて…」

 遠藤航の最大の武器が「ボール奪取」であることに異論の余地はない。では、どうして奪えるのか。それは単に、体の強さを生かして一人で奪い切る、というような単純な話ではないという。

「一人で奪えているように見えて、味方がどうプレッシゃーをかけているか、とか、相手の立ち位置を気にしていて、その結果、自分のところで奪えている、という感覚なんです」

 ガツンとぶつかってガシッと奪う、というだけではなく、その前の状況をすべて把握した上で、然るべきタイミングで体をぶつけに行くわけだ。

「もちろん、さらに寄せていく距離は相手からしたらかなりプレッシャーを感じる寄せ方は前よりもできている感覚があるので、そこは変わった部分かもしれません。あとは、相手がどういう立ち位置なのかを、ボールを動かしているときにしっかり見ておくのも奪う上で大事なことです。その状況がはっきりできていれば、強く行っても大丈夫だと自信を持ってアプローチをかけられるんです。相手と自分と味方のポジショニングを見るところは攻撃でも守備で奪うところでも大事になってきて、そこがクレバーさになってくると思います」

 3月25日の韓国との親善試合では、ボランチで守田英正とコンビを組んだ。守田も同じくボール奪取の部分に自信を隠さない。そんな相棒を頼もしく見ている。

「しっかり守備でつぶせるところ、それからボールを動かせるところは(自分と)似ていると思っていて、いい距離感でプレーできたし、攻守の面でお互いのポジションを見ながら立ち位置を変えてできました。特に守備のところでは、相手のゴールキックのときの立ち位置でマンツーマン気味についたり縦関係になったりというところは、はっきりできたと思います」

 ワールドカップでの上位進出を考えれば、守備に強い3列目コンビは頼もしい限りだが、もちろんそれだけではないのは、例えば韓国戦の83分に江坂任の左CKを遠藤がヘッドで決めたシーンが象徴している。守田もゴールやアシストの意欲を隠そうとはしない。2人が奪うのは相手ボールだけではなく、相手ゴールも、なのだ。

「明日はブロックをどう崩すかの展開になってくると思います。ボールを持った状態で中につけるタイミング、長いボールの使い分けをしていきたいと思います」

「ボランチが1枚、クロスに入っていくとか、どこで攻撃参加して人数をかけるのかというタイミング見極めていきたいと思います」

 不動のボランチコンビの確立なるか、これからがますます楽しみだ。


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