守田英正が日本代表に帰ってきた。今度は「海外組」の一人として。1月に川崎フロンターレからポルトガルのサンタ・クララに移籍してから初めての代表活動で、メンバーに選ばれた。わずか2カ月の経験でも意識が大きく変わったようだ。

上写真=守田英正は2019年6月以来の参加。「呼ばれる対象であることを目指してやって来た」と思いは熱い(写真◎スクリーンショット)

ばれないようにサボることは、日本では味わえなかった

 初めての「海外組」としての移動を経て、2カ月ぶりの帰国になった。昨シーズンのJ1優勝と天皇杯制覇を置き土産に、1月に川崎フロンターレからポルトガルのサンタ・クララへ25歳で覚悟の移籍。すると、デビュー戦で2-1の勝利に導く決勝ゴールをいきなり挙げて、そこから10試合フル出場を続けている。

「年齢的にいい意味で焦らないといけないので、試合に出ずにそこにいるだけにはなりたくありませんでした。試合に出たら結果を残していく、そのための準備ができて、思い描いた内容と結果が続いていていい方向にいっていると思います」

 ゴールはいまのところその一つだが、残したインパクトは十分だった。周囲への、もそうだが、自分自身へも。

「日本にいたときとは役割が違いますし、ボランチだから点を決めなくていいということはなく、結果でしかチームメートや周りの方からの評価は得られません。結果にこだわる部分は日本と比にならないぐらいにかけている思いは強いです。攻撃の部分でボックストゥボックスで進入するケースが増えているので、選手として幅が広がっている部分だと思っています」

 少し乱暴な表現をするならば、川崎フロンターレであれば守田の他に得点を取れる選手はいくらでもいたから任せられた。だが、すべてのチームでそうであるわけではない。

「川崎では戦術が特化していてレベルは屈指でした。最後までボールを保持して魅力的なサッカーをしてきました。でも大胆さは必要で、進入していく以上に相手にとって何が怖いかというと、シュートなんですよね。ポルトガルに行って前が空いていたらどんどん打ってプレーの幅を広げて、相手が感じる怖さというのを改めて勉強している段階です。シュート数やシュートを狙うべき位置、シュートレンジの距離、幅は日本にいたときより格段に広がっていると思います」

 もちろん、川崎F時代にも事あるごとにゴールへの意欲を口にしてきたが、ピッチでそれを表現する方法がまた増えているということだ。口にした「ボックストゥボックス」、つまり自陣深くから一気に攻めて敵陣のペナルティーエリアまで飛び出していくプレーも、その一つである。

「ボールを握れているチームから、そうではないチームに移ったので、インテンシティの高さやトランジションの多さはありますね。取られないのが当たり前に感じてきたところで失ったり、攻撃と守備がセットで行われる試合がポルトガルでは多くて、スプリントの量が増えていくんです。体力を90分もたせることは難しいですけど、やらなければいけないです。頭を使いながら、どこに強度を持たせて、うまくばれないようにサボるか。それは日本では味わえなかったことで、試合を重ねることでうまくいっていると思います」

 そんな確かな実感を携えて、日本代表のメンバーとして帰ってきた。新たな自覚も芽生えた。

「海外移籍をしたことによって見られ方が変わったと思います。2カ月で得たことがあるかどうかを語るには早いけれど、ただこの2カ月で変化、成長した部分はあると思います。それは結果を残すことでしか評価されません。得点とアシストににこだわりを持っているので、それができれば代表での一番のアピールになります」

 3月25日の韓国戦、30日のモンゴル戦とチャンスは2試合ある。今回は同じボランチには遠藤航、川辺駿、稲垣祥が選ばれている。「2カ月の実感」を武器に彼らを上回って、この絶好機を生かしたい。


This article is a sponsored article by
''.