明日18日早朝、日本代表はオーストリアでメキシコ代表と対戦する。ワールドカップ常連国との対戦を前に前日会見に臨んだ森保一監督は、メキシコ戦への意気込みを語るとともに、2018年秋の就任から2年で積み上げてきたものについても言及した。明日の試合は多くのものを確認する試合となりそうだ。

上写真=メキシコ戦の前日練習で選手に話をする森保監督(写真◎JFA)

スキがなく穴のない相手

「ワールドカップ常連国で、常にグループリーグを突破する世界の強豪メキシコと試合ができることを楽しみにています。われわれの現在の力、立ち位置を知るために最高の相手。練習試合でただ自分たちの力を試すというだけでなく、勝つために準備して、勝利してわれわれを応援してくださっている方々に喜んでいただけるように戦いたい」

 メキシコ戦の前日会見で、森保監督が今回の対戦の意義を語った。カタール・ワールドカップまでに2年となったタイミングで、8強入りを争うライバルと対戦できるまたとない機会になる。実績も、そして現在のFIFAランキングも相手の方が上だ(メキシコは11位、日本は27位)。

「スキがなく、穴のない印象。レベルの高い選手もそろっていますし、守備でも激しく厳しくプレッシャーをかけてくる。われわれがそこをかいくぐっていけるかどうかが大切になると思います。攻撃は速攻もあり遅攻もあって、選手たちが流動的に攻撃しかけてくる。しっかり対応しないといけないと思っています。まずは激しく厳しくという部分で個人が局面で上回っていけるように、そしてチームとして上回っていけるように、選手たちもチャレンジしてもらいたい」

 森保監督は2018年の就任から2年が経過し、カタール・ワールドカップまでも2年となった。言わば折り返し点。ここまでのチームの成長について、どう感じているのか。

「常に与えられた環境の中でベストを尽くして準備をする、戦いに臨んできた中で、確実に積み上げの部分は攻撃も守備もできてきていると思っています。選手たちが個のレベルを上げ、組織力に生かすというところをチャレンジしていることで、チーム力を高めてくれている。システムに関しては選手たちにとって難しい課題を出していますが、選手たちはトライしてくれて、共有してくれていると思います」

 指揮官が言う「難しい課題」とは3バックの採用だ。10月シリーズのカメルーン戦の後半、そして前回のパナマ戦(13日)でトライした。その意図は、戦術的な幅を持つために他ならない。格上の相手を上回っていくためには一つの戦い方を深めるだけでは難しい。柔軟に、臨機応変に、チームとしても個人として戦うことが必要。ロシア・ワールドカップのラウンド16でベルギー相手に2-0とリードしながら逆転負けした試合で、西野朗監督のコーチを務めていた森保一監督も、あのとき共に戦った選手たちも、痛感していた。

「みんなが対応力という部分で積極的にトライしてくれて、積み上げていると感じています。そこはすごくうれしい部分。活動する中でコアなチームづくりをして、限られたメンバーだけで戦うというのもチームづくりの一つの方法と思いますが、選手の入れ替えをしないといけない状況も出てきますし、大会中にはケガや出場停止もある。アクシデントが起こり得る中で誰としか組めないとか、アクシデントに対応できないというのではなく、理想は誰と組んでも連係連動して、チームとしても個人としても力を発揮できること。そこを考えながらトライしてほしい。
 パナマ戦では、選手が入れ替わり、あまり練習していない中で3バックで試合をして、うまくいかないことがあっても、ミスをしてもプレーし続けて、少しずつ流れを良くして、お互いの共通意識を高めていった。勝利をつかんだ意味は大きいと思っています。これからわれわれが勝っていくために必要なことを、選手たちが表現してくれた。勝てるチームというのは理想としている形で勝っていくだけではなく、どういった形でも勝っていける。選手たちはそういう意識を持って今、戦っています。パナマ戦も前半うまくいかない時間にボールロストもしましたが、あそこで失点していたら勝つのは難しかった。うまくいかない中でも継続力を持って戦い、忍耐力を持って戦うことを表現してくれたことは、今後の戦いの中でも生きてくると思います」

 就任以来、指揮官は選手に考えることを求め、ピッチ内の状況に対応する力を養うように促してきた。その歩みは時間がかかるが、コロナ禍で活動が限られている中でも、チーム作りそのものにブレはないと映る。新たなシステム習得へのチャレンジは、チームとしての戦い方に幅を持たせるフェーズに至ったということなのだろう。

 そして明朝、これまでの歩みを確認する機会を得た。

「メンバーは選手たちの状態を見て決めたい。招集に制限がある中で戦っているので、ベストメンバーという言葉が当てはまるかは分からないが、メキシコ戦に向けては勝つためのメンバーで臨みたいと思います。スタメンだけでなく、パナマ戦と同様にサブの選手も含め、チームで戦って勝利を収めたい。その中でわれわれの成果と課題を次に生かしていければ」

 メキシコ戦は、森保ジャパンの2年間をぶつける試合となる。


This article is a sponsored article by
''.