およそ1年ぶりとなる日本代表のゲームが10月9日、カメルーンとの間で行われた。誰が起用されるのかに注目が集まったが、森保一監督がボランチに送り込んだのが中山雄太。左利きの特性を生かしてスパイスになった。

上写真=2つ目の代表キャップを手にした中山。成長への刺激を手にした(写真◎Getty Images)

「守備はアグレッシブに」

「中山はいま、ズヴォレ(オランダ)でボランチのポジションで試合に出ていますし、そういう部分で起用を考えました。(昨年の)コパ・アメリカ以来の日本代表の試合だったと思います。もちろん、彼だけの責任ではないですけど、そのチリ戦に完敗したあと、試合に出られないということになってしまった。その経験は彼も覚えていると思いますので、また1年が経って、彼がどれくらい成長したかというところも含めて、今日の試合で見させてもらえればというところで起用させてもらいました」

「前回の試合に対する思いはすごく強かったと思いますし、ボランチで勝負したいという思いも強いということを今日のプレーで表現してくれたと思います。いま持っている自分の力をすべて出してくれたと思っています」

 森保一監督は中山雄太に大きな期待を寄せて、ボランチとしてピッチに送り出した。この発言から考えれば、及第点を与えた、と言ってよさそうだ。

 2019年6月17日のコパ・アメリカ、グループステージ初戦のチリ戦でいきなり先発で起用されてフル代表デビュー。そのまま90分を戦い抜いたのだが、スコアは0-4という大敗だった。それ以来のフル代表。今回も同様に先発して、最後までピッチに立ち続けた。

「まずは守備の部分はアグレッシブにと意識していて、通用する部分はあったと思いますし、チームとしても意識していました。攻撃の部分でもっとマイボールの時間は増やさないといけないですね」

 ボランチとして意識を置く守備については、本人も及第点、というところだろうか。

「自分のチームでもそうですけど、相手の中盤の選手に前を向かせないように、トランジションの部分を意識しているんです。行くならつぶしきらなければいけないし、もしタイミングが合わなければ出ていかないようにしなければいけません」

「前線の選手が高い位置で攻撃したときに、トランジションでマイボールにする準備は意識していて、そこは手応えを感じつつも、もっともっとやらなきゃいけない気持ちなので、さらに向上させていきたいと思います」

 自分たちが押し込んで攻撃しているときこそ、神経を研ぎ澄ませる。攻守が入れ替わった瞬間にまた奪い切るために準備を怠らず、そうして連続攻撃につなげることが、中山のボランチとしての姿である。

 この日は攻撃では、南野拓実のシュートを導いたパスがあった。19分に右サイド深くでキープする堂安律に静かに近づき、横パスを受けて相手に迫られながらも縦パス、これを南野が左足でフィニッシュした場面だ。これはGKの正面を突いたが、ワイドの選手が作った時間を利用して危険なエリアに入り込む感覚は、ボランチとしては大いに生かしたい。

「ゴールにつながるシーンを作るのは、ボランチをやって意識しているところですね。律のボールが良くてシュートを狙おうかと思ったんですけど寄せ早かったので(打てなくて)、パスは通ってよかったなという感じでした。でも、その意識が出たシーンかなと思います」

 冨安健洋が後ろでキープしているときに、サポートに入りながらも、冨安がそのまま持ち運んだ方が優位になる場面では身振りで促すシーンもあって、よく周りが見えていることが分かる。

 今回は右利きの柴崎岳が左、左利きの中山が右という並びになって、体の角度がゴール方向や逆サイドに向きやすくなる利き足の特性が生きた場面もあった。左利きのボランチはなかなかいないから、それ自体が大きな武器。

 こうして、柴崎岳のパートナーとして名乗りをあげた。23歳の秋に体感したこの90分は、チームにも中山自身にも大きな刺激になった。


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