なでしこジャパン(日本女子代表)は1月21日のAFC女子アジアカップ初戦で、ミャンマーに5-0と圧勝した。左サイドバックに起用されたのは本来センターバックの三宅史織だったのだが、開始1分に最初のシュートを導いたのはこの人。意外な攻撃参加で勢いをもたらした。

上写真=三宅史織は本来センターバックだが、左サイドバックとして攻撃センスを見せた(写真◎山口高明)

「自由にさせてもらったという感じ」

 宝田沙織、宮川麻都、乗松瑠華。池田太監督が2021年10月に就任してから、11月のアイスランド、オランダとのテストマッチで左サイドバックとして主に起用したのは、この3人だ。いずれも今回のアジアカップのメンバーに選ばれているが、初戦のミャンマー戦でフル出場したのは、三宅史織だった。本来はセンターバックの選手である。

 右サイドバックの清水梨紗が攻撃に力を発揮するタイプ。地力は日本が上で攻撃する時間が長くなるから、清水を前に押し出すメリットは大きい。とはいえ、リスクマネジメントも必要で、センターバックの近くにボランチが落ちてくる守り方もあるが、前への威力とのトレードオフになる。そこで、左サイドバックに本来センターバックの選手を置き、清水が出たあとにスライドして3枚で相手のカウンターに備えればいい。

「リスク管理のところでサイドバックが両方とも上がると、展開によりますけどいいバランスではないと思います。梨紗の特徴であるオーバーラップを生かすには、自分が中に絞ったほうがいいと思っていました」

 三宅は自分の役割をそう認識していた。清水は試合中に三宅と目で合図しながら、どちらかが上がればどちらかが残るというイメージの共有を図ることができたと話していた。でも三宅は、慣れない左サイドバックだから、「それよりは、自分が自由にさせてもらったという感じ」と笑った。

 こうして守備の安定感を図るために先発で起用された、と思わせておいて、この日の最初のチャンスは三宅の攻め上がりがもたらしたものだった。つまり、5-0の大勝へと続く勢いをもたらしたのは、この背番号5のチャンスメークがきっかけなのだ。

 開始わずか1分、熊谷紗希が最終ラインから左に素早く展開し、受けた三宅は前の宮澤ひなたに預けた。そのまま内側のラインを通って裏のスペースへと飛び出していく。宮澤がていねいにボールを渡すと、三宅がクロス、中央で田中美南がヘッドで狙った。わずか左にそれたものの、この大会のファーストシュートを導いたのだった。

 まるで、トレーニングを重ねたあうんの呼吸にも見える鮮やかさ。でも、実際はその逆だという。

「左サイドバックは紅白戦でもやっていなくて、ひなたと組んでプレーしたのも、いままでで1回あるかないか。だから、パターンを持っていなくて、前日にひなたと話をしましたけど、試合中に合わせられればと話していました」

 つまり、ぶっつけ本番に近い状態で、きれいに左サイドを崩したのだった。

「普段はセンターバックなので、自分が上がるのにいいタイミングじゃなかったと思うんですけど、うまく使ってくれて、ひなたは本当になんでもできる選手だなって」

 相棒をほめちぎったが、長谷川唯が左に回ることもあったし、後半は遠藤純が左に入ってきた。いずれも攻撃に輝きを放つ選手だから、後ろに構えて彼女たちを気持ちよくプレーさせるにも、三宅の存在は大きかった。

 もちろん、宝田も宮川も乗松も、ピッチで戦うために準備を整えている。左サイドバックに誰を起用するかで、池田監督のその試合への向かい方がわかるかもしれない。この大会ではそれだけ重要なポジションということになりそうだ。


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