なでしこジャパン(日本女子代表)DF熊谷紗希が、東京五輪前最後の強化試合となるオーストラリア女子代表戦への意気込みを語った。7月21日の五輪初戦に向けて勢いをつける一戦とすべく、気持ちを高ぶらせている。

上写真=キャプテンとして地元での大舞台に向かう熊谷。ディフェンスリーダーとして、なでしこジャパンの守備を支える(写真◎Getty Images)

「この相手と大会前にできることに意味がある」

 なでしこジャパンは6月18日のメンバー発表後、21日から7月5日まで集中トレーニングキャンプを実施。熊谷が「チーム全員でやる時間はすごく大事だったし、やれてよかった」と振り返るキャンプでは、男子高校生との練習試合も2回行ない、「どちらかというとボールを持たれる時間が長くなってしまう中での戦い方や、相手のフォーメーションによってどうやっていくかという形は、いろいろトライできたと思っている」と手応えをつかんでいる。

 いったん解散した後、7月11日に再集合して直前準備が始まり、14日にはサンガスタジアム by KYOCERAで行なわれるMS&ADカップ2021で、オーストラリア女子代表と対戦する。今年に入ってからの4試合の強化試合は力の差がある相手ばかりで、いずれも大量得点で勝利しているだけに、東京五輪に出場するオーストラリア女子代表は、久しぶりに手応えのある相手だ。

「この相手と大会前にできることに意味がある」と語る熊谷は、「自分たちがどうやって戦っていくか、相手のスピードやパワーをあらためて体感できるので、守備では早くスピードやパワーに慣れること」をポイントに挙げた。さらに「攻撃は、自分たちが持っている力で、やるべきことをやればチャンスはあると思う」と続け、21日に迎える東京五輪のグループステージ初戦・カナダ女子代表戦に向けて「完成度を上げていく準備として、90分間を使いたい」と試合の位置付けを説明している。

 チーム内の連係について「ピッチ上で話せる一瞬は、本当に一瞬なので、ちょっとでもタイミングが合わなければうまくいかないこともあります。それでも私たちは長くみんなで活動してきて、ピッチ外でも選手間で話し合いながら、頭の整理はできている」と現状を分析。その上で「ピッチの中で起こることは未知というか、準備し切れないところもあるので、絶対にコミュニケーションが必要。ピッチの中で修正できるようになってきていると思うし、形とやり方を変えながら、少しずつ試すことができたと思っている」とコメントした。

 自身は2011年から海外のクラブでプレーしているが、なでしこジャパンのメンバーも海外組が増えた。「ヨーロッパの中でやると、自分たちが思っているよりも足が伸びてくるし、一歩寄せてくる。体感したからこそ分かる余裕は、すごくあると思う」とした上で、代表チームへの波及効果についても「練習でも全員が、球際で前より厳しくいけるようになっていると思う。まだまだ足りないところもありますが、そういった変化は感じている」と語る。

 2013年から8シーズンにわたって所属したリヨン(フランス)を離れ、来季からバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)でプレーする。「簡単ではなかったですが、この決断には自信を持っている」という移籍の前に臨む、地元での大舞台。その試金石となるオーストラリア女子代表戦で、熊谷とチームがどんな戦いを見せるのか注目される。


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