2月16日、川崎フロンターレはJリーグYBCルヴァンカップ、グループステージ第1戦に臨み、ホームの等々力競技場で清水エスパルスに5-1と完勝。まさしく最高の形で2020年シーズンの公式戦初戦を飾った。

上写真=旗手(右)のクロスにヘッドを合わせ、この日2点目を長谷川をL・ダミアンが祝福する(写真◎J.LEAGUE)

■2020年2月16日(日)JリーグYBCルヴァンカップ第1節Aグループ 等々力陸上競技場
・川崎F 5‐1 清水
 得点:(川)L・ダミアン、長谷川竜也2、小林悠2 (清)石毛秀樹

よりゴール前に人が入っていく

 キャンプから取り組んできた4-3-3システムが機能した。パスをつないで相手を押し込み、高い位置からプレッシャーをかけてボールを奪うやショートカウンターを繰り出す。厚みのあるサイド攻撃とゴール前の進入回数で相手を上回り、新システムのメリットを存分に生かして、川崎フロンターレは清水エスパルスを攻め落とした。

「去年と違うのは、ゴール前に人が入っていけるようになってきている点。ただ、まだ本当に試行錯誤の段階です。それでも今季は点を取ろうということを掲げている中で、ゴールへの意識というものは、より強くなっている。そこは(今日の試合でも)選手を評価できるところ。そういう面はこのまま続けていきたい」

 まだまだ改善すべき部分はあるものの、指揮官も開幕のタイミングで新システムが機能したことに手応えを感じていた。

 むろん、相手の清水が新監督クラモフスキーを迎えて横浜F・マリノスのような攻撃的なスタイルにゼロから取り組み、まだ完成に至っていないという事実はある。ただ、攻撃の局面で立ち位置を変える相手サイドバックのスペースを巧みに突いて、川崎Fがしっかり得点を重ねていったことも事実だ。

 しかも、その過程において若い選手たちが躍動した。先発した宮代大聖は右サイドで存在感を示し、インサイドのMFを務めた脇坂泰斗は見事な手綱さばきで攻撃を活性化。83分には相手守備陣を無力化するスルーパスで小林悠の得点を演出した。左サイドの長谷川竜也は2得点と気を吐き、ボランチの田中碧はプレー選択の確かさを見せつけた。
 途中出場の大卒ルーキー、旗手怜央と三笘薫の2人はそれぞれ1アシストを記録。新戦力の右サイドバック、山根視来は上下動を繰り返して、エウシーニョ退団以来、適任者がなかなか見当たらなかった同ポジションを務めるにふさわしい資質を披露した。

 負傷により中村憲剛が長期不在となっている中で、そして小林や家長昭博をベンチスタートにさせながらも(小林は69分から出場)、若い選手たちがしっかりシステムを機能させ、ゲームを支配した。早々に勝負を決めてみせた事実は重い。それも、シーズン最初の公式戦で、だ。

 今回は互いに攻め合うオープンな展開になったが、そもそも相手に守られることを想定して、もう一段上のレベルに行くためにモデルチェンジに踏み切っている。ACLに出場しない今シーズンはルヴァンカップで若手を積極的に起用しながら、チームを作っていけるというメリットもある。

 新システムの運用と若手の起用と、そして最高の結果と。川崎Fにとってのシーズン初戦は、現段階で欲しかったものを手にした、そんな試合になった。


This article is a sponsored article by
''.