3月27日の明治安田生命J3リーグ第3節で、ガイナーレ鳥取とFC今治が対戦。多くの時間帯で優勢に進めたのは今治だったが、粘って最少失点に抑えた鳥取は、試合終了間際にビッグチャンスをつかんだが決められず、引き分けに終わっている。

上写真=鳥取のホーム開幕戦。どちらも勝機を生かせず引き分けとなった(写真◎石倉利英)

■2022年3月27日 J3リーグ第3節(@Axis:観衆2,101人)
鳥取 1-1 今治
得点:(鳥)大久保優
   (今)中川風希

・鳥取メンバー◎GK田尻健、DF丸山壮大、鈴木順也、増谷幸祐、魚里直哉、MF知久航介、新井泰貴、石川大地、大久保優(73分:永島悠史)、小澤秀充(64分:妹尾直哉)、FW田口裕也
 ※実際のポジションで表記

・今治メンバー◎GK滝本晴彦、DF下口稚葉、安藤智哉、照山颯人(HT:飯泉涼矢)、冨田康平(84分:上原拓郎)、MF楠美圭史、島村拓弥、山田貴文(84分:パク・スビン)、FWインディオ(80分:晴山岬)、中川風希、近藤高虎(71分:福田翔生)
 ※実際のポジションで表記

試合終了直前のPKをストップ

 前日は県内全域に暴風警報が発令されるなど、強い風が吹き荒れた鳥取地方は、この日は朝から晴れ渡り、風は少し強かったものの、公式記録で気温16・4度という暖かさ。鳥取のホームゲームとしては、コロナ禍前の2019年最終節以来となる2000人以上の観客が詰めかけた。

 開幕からアウェーで2連敗を喫した鳥取は、ホーム開幕戦で初勝利を目指したが、今治は立ち上がりから多くの決定機を作る。しかし、2分に左CKをFW中川がヘッドで合わせたシュートは、クロスバーに当たって決まらず。15分には左サイドを崩し、DF冨田のセンタリングを鳥取GK田尻がはじいたこぼれ球を、FWインディオが左足で狙ったが、クロスバーの上に外れた。

 その後も今治が優勢に進めたが、無失点でしのいだ鳥取が少ないチャンスを生かして先制する。30分、今治がゴールキックからパスをつなごうとしたところに、MF知久が素早く寄せてインターセプト。拾ったFW大久保がエリア外から右足を振り抜くと、ボールは今治GK滝本の手をはじきながらも後方に飛んでネットを揺らし、2試合連続ゴールで均衡を破った。

 リードを許した今治は後半開始から圧力を強め、鳥取のゴールをこじ開けにかかる。47分、右CKからのDF安藤のヘディングシュートがクロスバーに当たり、55分にはゴール前のこぼれ球をMF山田が右足で狙ったシュートがGK田尻に防がれるなど、前半同様の嫌な展開となっていたが、ついに59分に同点ゴール。エリア外右サイドでパスを受けた中川が右足で狙うと、低い弾道のシュートが鮮やかに左下スミに決まり、こちらも2試合連続ゴールで追い付いた。

 ここまで後半の今治はボール支配率で圧倒しており、同点とした後も、思うようにボールを奪えない鳥取を攻め立てる。しかし、66分のインディオの決定機がGK田尻の好セーブに防がれるなど、逆転には至らない。

 そうするうちに鳥取も、75分過ぎから今治のプレッシャーをかいくぐり、敵陣までボールを運べるようになる。双方にゴール前のチャンスが生まれ始めたが、両チームの守備陣が体を張った守備でゴールを割らせない。

 一進一退の攻防が続く中で、試合終了間際に鳥取が千載一遇のチャンスをつかんだ。5分と表示された後半アディショナルタイムの90+2分過ぎ、ゴール前の攻防で、交代出場のMF妹尾がエリア内に走り込む。MF知久の浮き球のパスを胸でコントロールした次の瞬間、今治DF飯泉が背後からチャージしたプレーがファウルと判定され、鳥取がPKを獲得した。

 残り時間を考えても、勝敗を左右する重要な局面。しかし、キッカー妹尾の左へのキックを、GK滝本が見事にセーブし、こぼれ球に詰めたMF魚里のシュートも、左ポストに当たって決まらなかった。

 結局そのまま1-1の引き分け。今季初のアウェーゲームで勝ち点1を得た今治の橋川和晃監督は、「前半の最初がうまくいき過ぎて、選手の甘さが出たし、監督の私としても甘さが出た。後半は、がむしゃらにやっていて、ああいうプレーを最初から見せてほしいですし、私自身も、そう導いていかなければいけない」と反省の弁。一方、内容では圧倒されながらも勝利に近づいた鳥取の金鍾成監督は、「(開幕から連敗した)2試合の流れからすると、自分たちの戦い方の方向性を、選手たちも少し感じてやってくれたのはよかった」としつつ、「方向性は見えたけれど、それが簡単に勝ちにつながるわけではないことを実感して、また積み重ねていかなければいけない」と今後を見据えていた。

現地取材・写真◎石倉利英


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