ガイナーレ鳥取FW田口裕也が、プロ初の1試合複数得点を決めた。0-3から2-3への追い上げに貢献したものの、チームは敗戦。苦しい時期の練習の成果が表れた自信を胸に、次節ではホーム連敗ストップも目指す。

上写真=久しぶりのホームでの勝利を目指して練習を重ねる田口(写真◎石倉利英)

「点が取れる気がしていた」

 10月31日の明治安田生命J3リーグ第25節で、アウェーでAC長野パルセイロと対戦した鳥取は、前半のうちに3失点して0-3の劣勢を強いられていた。58分に田口が交代出場した時点でもスコアは変わらなかったが、「なぜかは分からないけど、点が取れる気がしていた」という。

 予感が当たったのは64分。MF永島悠史の左からのセンタリングをエリア内中央で待ち、反転しながらのトラップから右足を振り抜くと、ボールは詰めていた相手DFに当たったものの、GKとの間をすり抜けるようにゴール内へ転がる。「相手に当たって、普通なら入らないシュートが入ったので『もってるな、いける』という気がした」と振り返るゴールで1点を返した。

 85分には左サイドからのドリブル突破でエリア内に侵入し、ファウルを受けてPKを獲得。これを自ら決めて1点差とした。四日市中央工高(三重)から加入1年目でチーム最多の8得点を挙げた昨季、さらに今季も達成できずにいた、1試合での複数得点を達成。「2点を取れたのは、自分にとって大きい」と語る活躍を見せたものの、鳥取は2-3で敗れ、「あと1点取れる時間はあったので、悔しさもある」と反省点も口にした。

 プロ2年目の今季、昨季に続いて開幕戦で得点したが、2点目は第15節だった。中断明けの第16節以降はゴールから遠ざかり、ベンチから外れる試合も。「与えられた時間の中で結果を出せず、かなり悩みました。いろいろな人に相談に乗ってもらったり、話を聞いてもらったりした」という苦しい時期を過ごした。

 それでも「去年から続けているシュート練習や、坂道ダッシュなど、やるべきことをやるしかないと、あらためて感じた」との思いで練習を重ねてきた。9試合ぶりの得点、プロ初の1試合複数得点という成果につながり、「続けてきたことが、やっと結果につながった」と手応えをつかんでいる。
 
 とはいえチームは4連敗、依然として最下位(15位)の苦境から抜け出せない。11月7日の第26節ではホームで藤枝MYFCと対戦するが、ホームでは現在8連敗中。これは不名誉なJ3リーグワースト記録でもあり、何とか2つの連敗を止めたいところだ。
 
「ホームで勝てず、僕たちも悔しい思いをしていますが、ファン・サポーターの皆さんは、もっと悔しい思いをしていると思う」と語る田口は、「チームの勝利に向けて、全員で良い準備をしていく。ぜひ期待していてほしい」ときっぱり。「やっと自分の中で苦しい時期を抜けられた感覚がある。次も自分に与えられた時間の中で結果を出したい」と意気込んでいた。

取材・写真◎石倉利英


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