3月27日のサンフレッチェ広島とガイナーレ鳥取の練習試合。かつて重傷を負った場所でプレーした鳥取MF山本蓮は、完全復活に向けて懸命のプレーを見せた。勝負の1年と位置づけるプロ5年目へ、強い決意で臨む。

上写真=負傷して以来の吉田サッカー公園でのプレーとなった山本(写真◎石倉利英)

「何としてでも結果が欲しい」

 45分×3本で行なわれたサンフレッチェ広島とガイナーレ鳥取の練習試合は、3本トータルで広島が5-1で勝利を収めたが、3本目の45分間は1-1だった。この3本目に2シャドーの一角でフル出場した鳥取MF山本蓮は、ボールを触る回数は限られたものの、相手のパス回しに対して懸命にボールを追う守備で奮闘。試合後は「前から追ってプレッシャーに行こうと、3本目のメンバーと話していた。うまくいっていた場面も多かったと思う」と振り返った。

 この日の練習試合の会場は、広島の練習場である吉田サッカー公園。山本にとっては『因縁の地』だった。

 2018年10月21日、この地で行なわれたJリーグ育成マッチデーの広島戦に先発出場した山本は、後半途中に相手のチャージを受けて踏ん張った際に左膝を負傷。診断の結果は左膝前十字靭帯損傷、復帰まで手術後約8カ月という重傷だった。
 
 吉田サッカー公園を訪れたのは、そのとき以来。山本はピッチの一角を指差して「あのあたりでした。鮮明に覚えています。踏ん張った軸足をひねって、音がした」と語った。その後は懸命にリハビリに励み、昨季終盤に復帰したものの、その後に別の負傷もあり、J2リーグ出場は4試合。久御山高(京都)から16年に鳥取に加入してプロ5年目になる今季は、完全復活を目指すシーズンとなる。
 
 コンディションについては「いろいろ探りながらですが、だんだん良くなってきている」という。J3リーグは開幕前に延期となり、依然としてシーズンが始まらないが、山本はあらためて5年目への強い思いを明かした。

「ガイナーレに携わって5年目になり、何とか優勝させたいですし、個人的にも今季は勝負の年だと思っています。何としてでも結果が欲しい。結果をコツコツと出していけば、おのずと(試合出場に向けて)メンバーに絡んでいけると思っています」

 ピッチで躍動し、鳥取をJ3優勝に導く。山本の完全復活への道のりは、クラブの悲願であるJ2復帰の道のりとリンクしている。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英


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