1月21日、宮崎県綾町錦原運動公園国際交流広場サッカー場でキャンプを実施している川崎Fと、熊本が45分×3本のトレーニングマッチを行なった。新加入のDF山根視来らのゴールで、川崎Fが熊本に8対1で勝利した。

上写真=高校時代に2種登録された川崎Fとのトレーニングマッチを戦う熊本の内山(写真◎サッカーマガジン)

■2020年1月21日 宮崎キャンプ・トレーニングマッチ(宮崎県綾町錦原運動公園国際交流広場サッカー場)※45分×3本
川崎F 8-1 熊本
得点者:(川)長谷川竜也、レアンドロ・ダミアン2、ジオゴ・マテウス、家長昭博、山根視来、小林悠、宮代大聖 (熊)オウンゴール

JFLからJリーガーとなった苦労人

 1月21日、J3のロアッソ熊本は、宮崎でキャンプ中の川崎フロンターレとトレーニングマッチを行なった。45分のゲームを行ない、結果は1-8の完敗。2度のJ1優勝を誇る強豪に、力の差を見せつけられる形となった。

 シーズン開幕前の練習試合。しかし、そんな一戦に特別な思いを抱いて臨んだ選手がいた。「昨夜も寝られないくらいでした。今朝からも『見返してやろう』と、ずっと準備をしていたんです」。試合前の心境を明かすのは、熊本のGK内山圭だ。

 東海大学を卒業し、JFLの東京武蔵野シティFCで社会人のキャリアをスタートさせた。2年目の2017年7月に当時J2の熊本へ移籍。晴れて“Jリーガー”となった。

「両親だったり、家族にはとても迷惑をかけました。就職活動をしながらサッカーを並行させてもらい、最終的に『サッカーをやりたい』と。その思いを支援してもらったことで、ここまで来られました」

 しかし、プロの世界は厳しい。ましてや、GKはチームに一つしかないポジションだ。簡単に出場機会は回ってこなかった。Jリーグでの出番がないまま、今季で熊本在籍4年目を迎えた。

「今年の新体制発表とか、チームが集まったときに、自分が中堅の年齢になったことをはっきり自覚しました。いつまでも、おんぶにだっこではダメなんだなと。ゴールキーパーの中では年齢が下でも、今日の最後のゲーム(川崎Fとのトレーニングマッチの3本目)を見ても、僕の上(の年齢)は伊東俊さんだけ。やはりチームを引っ張っていかなければいけない、リードしていかなければいけない立ち位置になったんだなと。(始動してから)2週間ちょっとですけれど、それを自覚しているところなので、やはり結果を出したいというのが今年の一番の目標。僕自身がサッカーをやる上での一番の目的なのかなと思います」

 内山にとって、2020年は勝負の年だ。そんなシーズンのスタートに、川崎Fと対戦できたことは偶然ではないのかもしれない。自らの原点を振り返り、プロサッカー選手としての闘志がよりいっそう、あふれてきたのだろう。高校2、3年生の2年間、2種登録として在籍した古巣と相対したことで――。

「もう7年ぶり? 8年ぶりくらいですかね。ユース(川崎F・U-18)の夏に一度試合をしたことはありますが、それ以来ずっと戦っていませんでした。自分は川崎のアカデミー出身で、ありがたいことに2種登録してもらっていたんです。でも、(高校卒業時に)プロになれなくて、とても悔しかった。だから、今日ここで(川崎Fを)見返すことができなければ、川崎Fのアカデミーで育ててもらった意味がなくなるんじゃないかって」

 プロ契約をしてもらえなかった悔しさもあるのかもしれない。だが、中学、高校と育ててもらい、2種登録という形で期待してもらった古巣に成長した姿を見せたい思いが上回っていたのだろう。その感情をプレーで表現し、好守を連発してみせた。

 2本目の29分から出場。対面のゴールには、高校時代に面倒を見てくれた先輩の安藤駿介が立っている。3本目には、ともにトレーニングをこなした小林悠にゴールを決められた。その後、宮代大聖にも追加点を浴びたものの、試合終了のホイッスルが鳴ると内山はすがすがしい表情を見せた。

「(失点)ゼロで抑える時間も長くて、チームを引っ張る意味でも良い成果が出たと思います。それに、うれしかったですね。皆さんに覚えていてもらえて。ケンゴさん(中村憲剛)をはじめ、(小林)悠さん…。とてもお世話になった先輩です。悠さんが(川崎Fに)入った年と2年目に、僕は2年間、2種登録してもらっていたので。あとは登里(享平)さん。安藤さんとも対戦できて、うれしかった。監督の鬼木(達)さんや寺田周平さん(コーチ)は(当時)コーチだったし、選手だった吉田勇樹さん(現コーチ)にも、皆さんにお世話になりました。フロンターレは自分にとって、とても感慨深いチームです」

 緑豊かな綾町に広がる青空の下、かつてのチームメイトに背中を押された。2020年、まずはJリーグ・デビューを果たし、熊本のゴールマウスを守り続ける。大木武監督にアピールし、定位置奪取を狙う。

「ロアッソのサポーターには、そろそろ僕のユニフォーム姿を見慣れていただかないと。新体制発表会でもそう言ったんですけれどね(笑)。覚えておいてもらえるように頑張ります!」

 控えめな言葉の端々には、新シーズンに懸ける強い決意がにじんでいた。

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