アルビレックス新潟がJ1昇格を決めた10月8日のベガルタ仙台戦。3-0の完勝は、このチームが1年かけて積み上げてきたものを証明するような内容だった。高宇洋の存在も、その大きな一つ。ボールを動かし、即時奪回で仲間を押し出すプレーをのびのびと披露した。

上写真=高宇洋の存在は昇格を決めた新潟の要石だ(写真◎J.LEAGUE)

■2022年10月8日 J2リーグ第40節(デンカS/32,979人)
新潟 3-0 仙台
得点者:(新)伊藤涼太郎2、アレクサンドレ・ゲデス

「もっともっとうまく、強く」

 選手を入れ替えながら戦ってきたチームにあって、それは偶然かもしれない。でも、アルビレックス新潟がJ1昇格を手にするための一戦で、4人が揃ったのは意味深い。センターバックの舞行龍ジェームズ、千葉和彦、ボランチの島田譲、そして高宇洋である。

「昇格を達成できたな、という思いと、来年がすごく楽しみな気持ちです。あとは、まだJ2優勝がかかっているので、勝ち取って今年を終わらせられたらと思います」

 高は安心半分、向上心半分の心の内を明かす。

「今年は覚悟を持って新潟に残って、昇格という目標を達成しようとしてきました。それができてうれしいですけど、もっと上に行くためには自分自身はまだまだ足りないと思っているし、上で戦うためにもっともっとうまく、強くなっていかないといけない。満足していないですし、成長して絶対的な存在としてやっていけたらと思います」

 だが、今年の新潟ですでに絶対的な存在だった。上に挙げた4人で作る四角形がボールの循環のスタート地点になって、今年のチームの基盤を形作った。途中で他の選手もローテーションで加わりながらこのスクエアの強度やバリエーションを高めてきたが、仙台戦で並んだいわば「オリジナル4」は、さすがの安定をもたらした。

 前半から圧倒的に攻め込みながら、得点はなし。焦れてもおかしくないが、「こういうゲームは今年何回もありましたし、嫌な失い方だけしなければ大丈夫だろう、と。あとはボールを動かしながら質を上げていけばいいと思っていました。そこは今年、突き詰めてきたので」と堂々。

「焦りはなかったし、ボールを動かしている中で仙台の選手の顔色を見ると、疲労を感じていたようでした。ボールが取れないことでピッチの中でギクシャクしていたので、勝ったなと。やり続ければ自ずと崩壊していくと思っていました」

 その言葉の通りに、後半に3点を集めて快勝だ。

 1点目も2点目も、チャンスを作ったのはボランチのパートナーである島田だった。この試合に限らず、島田がゴールに近い位置にまで思いきって出ていけたのは、高がアンカー的に中盤のど真ん中に構えて、押し込んだあとに失ってもすかさず奪い返して波状攻撃ができるから。

 四角形と即時奪回。高がJ1昇格に果たした功績は、とてつもなく大きい。歴史に残る仙台戦は、その価値を改めて証明した試合としても記憶されるだろう。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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