明治安田生命J2リーグ第20節で、6月4日にアルビレックス新潟は徳島ヴォルティスとのアウェーゲームに臨み、1-1のドローに終わった。先制されながら追いついたのは、谷口海斗の10試合ぶりのゴール。だが本人にとっては、逆転できない悔しさのほうが勝っていた。

上写真=谷口海斗はゴールだけではなく迫力のあるプレスでも相手を困らせた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年6月4日 J2リーグ第20節(鳴門大塚/3,555人)
徳島 1-1 新潟
得点者:(徳)一美和成
    (新)谷口海斗

「波に乗っていってもらえば」と松橋監督

 ようやく背番号7にゴールが生まれた。谷口海斗が藤原奏哉のクロスをヘッドで合わせ、ゴール左に流し込む44分の同点弾。実に10試合ぶりの歓喜となった。

「みんなが連動して、最後は(藤原)奏哉からいいボールが来たので、入ってくれてよかった」

 その言葉通り、新潟らしい素早いパスワークは見事だった。星雄次が左をドリブルで持ち運んでから縦につけ、谷口自身が受けてワンタッチで落とし、本間至恩が中央につなぐと、伊藤涼太郎が右に振った。これを藤原が中央へ。最初のポストプレーのあとに相手の背後でフリーになっていた谷口が、ヘッドで左にゆるやかに届けてみせた。テンポの良いパスに加えて、クロスの瞬間にペナルティーエリアの中に5人が入っていく迫力もまた、チームとしての好調の証だ。

 だが、谷口に笑顔はない。「勝ちに来たので、悔しいの一言です」と逆転できないまま結末を迎えて唇を噛んだ。79分には鈴木孝司にあとを託してピッチを退いたが、「まだ決定機はあったので、決めきれるようにやっていきたい」。40分に伊藤の短いスルーパスにGKの前で足を伸ばした40分など、チャンスを逃した自分に矢印を向けた。

 今季は最初の10試合で6ゴールと、絶好調だった。センターフォワードとしてポストプレーに磨きもかかり、自らのゴールだけではなく、仲間がいい状態でボールを運ぶための献身的なアクションも際立って、攻撃の軸として欠かせない存在だった。それがぱたりと鳴りを潜めた。しかしその間は、チームメートがチャンスを作り、ゴールを決めるための黒子役として効いていたから、信頼を失うことはなかった。

 シーズンの折り返しを目前にして7ゴール。昨年は13ゴールだったから、このペースでいけば昨年超えだ。

「彼自身もゴールに飢えていたと思うし、ここから波に乗っていってもらえば」

 松橋力蔵監督の期待の言葉はまるで、すべての新潟ファンを代表するかのようである。


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