6月4日の明治安田生命J2リーグ第20節で、徳島ヴォルティスとアルビレックス新潟が対戦。15位と2位で順位に開きはあるものの、ともにボールを動かしながら相手を崩すスタイルを出し合い見応えは十分。徳島が先制しながら新潟が追いついて、引き分けに終わった。

上写真=新潟ゴール前での激しい攻防。徳島と新潟は好ゲームの末にドローに(写真◎J.LEAGUE)

■2022年6月4日 J2リーグ第20節(鳴門大塚/3,555人)
徳島 1-1 新潟
得点者:(徳)一美和成
    (新)谷口海斗

画像: ■2022年6月4日 J2リーグ第20節(鳴門大塚/3,555人) 徳島 1-1 新潟 得点者:(徳)一美和成 (新)谷口海斗

「素晴らしい試合になった」とポヤトス監督

 先制したのはホームチームだ。左から杉森考起がスピードに乗ってペナルティーエリアに突進したところで、藤原奏哉のファウルを受けてPKを獲得。一美和成が力強くゴール右に蹴り込んで、19分に幸先よく1点を手にした。

 このゴールを境に、新潟がほとんどボールを支配することになる。徳島は守備では4-4-2に構えてコンパクトな陣形を組み、そこを新潟がいかにかいくぐるかの勝負になっていった。ようやく実ったのが44分。星雄次、谷口海斗、本間至恩、伊藤涼太郎と素早くパスをつないで左から右へ運ぶと、藤原奏哉が中央へ、これを谷口がヘッドでゴール左に流し込んで同点にした。徳島が先制して優位に立ったはずだが、逆に新潟にリズムを渡す皮肉な展開になった。

 仕切り直しの後半は、追いつかれた徳島も活力を取り戻した。お互いに強力なプレスを仕掛けながら、それをはがす技術とアイディアをぶつけ合う、生き生きとした好ゲームになった。時間が進むにつれてオープンなやり合いになり、ともに交代選手を次々と投入して、スピード感は衰えなかった。

 72分、74分と高宇洋と秋山裕紀が連続でミドルを狙った新潟、左のワイドに入った西谷和希のドリブルとアイディアでチャンスをうかがった徳島と、お互いに持ち味は出し合った。すると90+4分、新潟が左からのFKから最後は小見洋太が蹴り込んで、劇的決勝ゴール、と思われたが、オフサイドの判定でゴールはならず。思わずこぼれた歓声と悲鳴が消える頃に、試合終了のホイッスルが鳴った。

 新潟は松橋力蔵監督が「最初に失点したことで試合を難しくした」と振り返る展開にも、「いい時間で折り返しの前に追いついて、後半も終始押し込みました」とリカバーには成功した。しかし、勝ちきれなかったのも確かで、「最後のところのクオリティーを発揮できなかった。毎回同じ課題なので、追求していかなければならない」と厳しかった。

 ここで勝って、翌日に試合を控える首位のベガルタ仙台や勝ち点で並ぶ3位の横浜FCにプレッシャーを与えたかったところだろう。それでもこの勝ち点1は「次につなげるというよりも、最後につなげたいと思います。最後の目標を達成する上での勝ち点1にしたい」とさらに先を見据えた。

 徳島は追いつかれて3試合連続引き分け、6試合勝利なしとなった。シュートも3本と物足りなかったが、それでもダニエル・ポヤトス監督の「両チームとも素晴らしいプレーをして、素晴らしい試合になった」という言葉もまた本音だろう。どちらも相手の良さを消すよりも、強みをぶつけて勝利を目指した90分。「強い相手に対してはこういう結果にもなるが、しっかり見直すべき。今日のように集中して練習すれば結果はついてくる」と手応えもある。上昇へのきっかけをつかむ試合になるかもしれない。


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