6月26日の明治安田生命J12リーグ第20節で、水戸ホーリーホックはアルビレックス新潟の強烈な攻撃陣を抑え込んで0-0のドローに持ち込むことができた。10試合ぶりに先発出場を果たした新里涼が明かした、新潟対策の中身とは。

上写真=新里涼は味方を動かし、自分も動いて強力な新潟の攻撃を完封した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月26日 明治安田生命J2リーグ第20節(@デンカS/観衆13,413人)
新潟 0-0 水戸

耐える時間帯、パワー使う時間帯

 4月25日の第10節ブラウブリッツ秋田戦以来だから、およそ2カ月、10試合ぶりの先発出場になった。J2第20節のアルビレックス新潟戦で、水戸ホーリーホックの新里涼は新潟対策のキーマンとして起用された。4バックの前に立つアンカーとして、相手のパス回しを分断するタスクを担ったのだ。

 結果は0-0。アウェーで最低限の結果を残すことができたのは、守備の「意識」と「戦術」の両方のアプローチが効果を発揮したからだ。そんな確かな感触を、新里は得ている。

「特に大きく変わったというよりは、一人ひとりの意識として、90分を通して、ここは耐える時間帯、ここはパワー使う時間帯と、自分を含めて声を出して全員で同じ方向を向いてやれたのかなと思います」

 それが意識の面の手応えだ。J2屈指の攻撃を誇る新潟を前に、より集中力が研ぎ澄まされた。戦術の面では4-1-4-1の配置でチームが結びつき、新里がアンカーとしてコントロールした。

「とにかくど真ん中に立っているポジションなので、攻守に90分間、チームをコントロールすることを意識して入りました。2列目の選手に個性があるので、自由にさせないために味方を動かしたり自分のスライドの部分も守備に重きを置いて入りました」

「特に相手が2トップではなく縦関係になっているところや、ビルドアップのところで2列目の選手が何回も入れ替わってうまく起点を作ろうとしてきました。そこはいつも中を閉じる練習をしていますし、通されてもプレスバックの意識もあって、自分も含めてジェラ(住吉ジェラニレショーン)、(鈴木)喜丈の声がけも自分にはプラスになりました。後ろの2人と自分を含めた3人で中盤をコントロールできた手応えがあります」

 新潟の攻撃は神出鬼没だ。本間至恩、高木善朗、ロメロ・フランクのアタッカーに加えて、高宇洋、ゴンサロ・ゴンザレスのボランチ、さらには堀米悠斗や藤原奏哉のサイドバックまでもが2列目のエリアに進入してくる。これに対抗するために、センターバック2人と一緒に強固な三角形を築いたというわけだ。

「サイドを揺さぶって相手を散らす」

「アップのときからスタジアムの雰囲気や、始まってからの相手の勢いを感じましたけど、それにのまれないように、全員で勝ち点を持って帰るんだと臨んでいました。一進一退でしたけど、こっちも仕留めるチャンスはあったと思いますし、うまく守りきれたところもあると思います。こういうインテンシティの高いゲームの中で何とか勝ち点を取って終われたのは、自分たちにとってプラスになったという感じです」

 大きな手応えと自信は尊いが、一方で攻撃への迫力に物足りなさを残したのは大きな反省だった。

「こういう試合は1点ゲームだと思っているし、相手の決定機があった中で、自分たちも決定機はたくさんあったと思います。そういうところを仕留められるチームになっていかないといけない」

 そのために、サイドからの攻撃がポイントになると新里は考えている。

「水戸が中央突破の回数が多いのはデータで出ていますし、研究されています。サイドからの進入の仕方というか、サイドから起点の崩し、サイドを揺さぶって相手を散らす練習をしてきました。クロスを上げきるところまではうまくボールを運べていたので、そこからの精度は追求していきたい」

 できたこととできなかったこと。そのバランスがちょうど勝ち点1を示すポイントで止まった、という試合。それでも水戸にとって、新里にとって決して悪くはない内容は今後につなげたいところだろう。

写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.